フランス・フットボール通信BACK NUMBER
標高4150mで毎日サッカーできる!?
世界で最も高い場所にあるプロクラブ。
text by
トマ・アランThomas Alain
photograph byFacebook Always Ready
posted2019/03/22 09:00
ボリビアはエルアルト(標高4150m)の街から仰ぎ見る山岳風景。富士山(標高3776m)より高い所でサッカーをする、ということになる。
世界で最も厳しい環境のリーグとして。
切り立ったアンデスの山々と麓に広がる広大な森林――。
ボリビアリーグは地理的・気候的な環境において世界で最も厳しいリーグといわれる。適応のためには一定の時間が必要と、オールウェイズ・レディの元監督で現在は代表アシスタントコーチを務めるオスカル・ビルガスはいう。
「標高に慣れるには3週間かかると考えている。だから新しい選手を獲るたびに、それぞれに個人プログラムを組んで取り組んでいる。選手の身体がうまく酸素を取り入れられるようになるまでには、膨大なトレーニングが必要だ」
ボリビアでは新しい選手をピッチに送り込むまでに通常3週間から1カ月をかけている。新しい環境に身体が馴染むまでには、それぐらいの時間が必要という認識である。
高地の試合は精神の削りあい。
国内の気温は5度から30度まで変動する。
海抜と同じ標高のサンタクルスや、2500mのコチャバンバ、3640mのラパス、3700mのオルロ、3900mのポトシやさらに高いエルアルトで試合をしなければならない。
とはいえ高地のクラブの方が多数派で、オールウェイズ・レディだけが例外なのではない。地理的環境のアドバンテージは、国内の試合では思ったほどに大きくはない。本当のアドバンテージは、国際大会・国際試合において生まれるのである。
とはいえ対戦相手の選手が頭痛や筋肉疲労を起こしても、クラブや代表のメディカルスタッフが症状を事前に予測して対処しうる。それよりも専門家は、試合前の食事がより重要であると断言する。高地では消化が低地よりも遅い。だから食事も軽いものやジュース類、スープ類をとるべきなのである。
ただし試合においては、食事以上に心理的な側面で大きな影響を与えるとビルガスが語る。
「対戦相手が高地の試合に慣れていなかったら、相手の精神バランスを崩すべきだ。要はスタートから激しいプレスをかけて、息つく暇を与えないことだ。そしてゴールキックやスローイン、コーナーキックでできるだけ時間をかけない。高いリズムを保ち続ければ、相手は休息の時間を取ることができないだろう」