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標高4150mで毎日サッカーできる!?
世界で最も高い場所にあるプロクラブ。
posted2019/03/22 09:00
text by
トマ・アランThomas Alain
photograph by
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標高3640mに位置するボリビアの首都ラパスは、世界最高地で国際試合が行われる都市として知られている。だが、ボリビアには、ラパスよりさらに高い標高4000mを越える地で試合をするプロチームがある。それが今季1部リーグに昇格しながら、ここまで全14チーム中第5位につける(3月15日現在)「オールウェイズ・レディ」である。
オールウェイズ・レディとはいったいどんなクラブであるのか。また高地でサッカーをすることの難しさはどこにあるのか。『フランス・フットボール』誌2月19日発売号でトマ・アラン記者がレポートした。
監修:田村修一
利害が一致してホームタウンを移転。
27年という時を隔ててボリビアリーグ1部に昇格したオールウェイズ・レディは、そのおよそ1年前に本拠を首都ラパスから標高4150mのエルアルトに移した。世界のプロサッカーの最高峰に達したのだった。
アンデス山脈の中腹に位置するエルアルトは、30年前にはボリビアの首都ラパス近郊の小さな街にすぎなかった。それから歳月が過ぎ、今はラパスの都市圏に含まれ人口も100万以上を数える。だが、急速な都市化の波に飲み込まれたにもかかわらず、この街のクラブが国内のサッカーシーンで名を成すことは一度としてなかった。
そのエルアルトのビジャ・インゲニオ地区に、2万5000人を収容する人工芝のスタジアムが建設された。ラパスに本拠を置く2部リーグのクラブ、オールウェイズ・レディのフェルナンド・コスタ会長が、エルアルト市当局に本拠移転の提案をおこなったのは数年前のことだった。コスタが事情を説明する。
「ビジャ・インゲニオスタジアムはホームチームを持たず、エルアルトにも2部に所属するクラブがない。一方われわれも、ラパスで街の小さなスタジアムで試合をするか、すでに2つのクラブが本拠を構え、われわれには大きすぎるエルナンド・シレススタジアムを選ぶかの選択に迫られていた」
1950年代には2度のボリビアチャンピオンに輝いたオールウェイズ・レディは、こうしてラパスからビジャ・インゲニオへの移転を決めたのだった。