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「日本の筋トレ」と歩んだ34年・前編。
五輪、リー、マドンナが与えた影響。
posted2019/03/17 11:00
text by
増田晶文Masafumi Masuda
photograph by
AFLO
水ぬるみ、梅は咲き、ウグイスが鳴く。
春を感じるあれやこれ、まことに趣深い。
だけど私は、芽吹きの季節の到来をフィットネスクラブで実感するようになっている。
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春めくと急にジムが人であふれかえる。そろそろ「ジム混み」も歳時記に載せるべきじゃないだろうか。
薄着になれば、ぼってり腹が気になるのは人情というもの。夏までの数カ月で、なんとかエエカッコのボディを手にいれたいと願う者を、だれが嗤うことができようか。
といいつつも、私はこっそり口もとを歪めちゃっている。だって、たったワンシーズンで肉体改造しようなんてムシがよすぎる。
鏡にうつる身体の変化にニンマリするには最低で6カ月、周囲からうれしいご指摘をいただくとなれば1年はかかろう。
筋トレの果実は、鍛錬を「点」でなく「継続」できた者にしか味わえない。全身の300を超す筋肉をくまなく鍛え、完成度を高めるには優に10年以上が必要となる。
中途半端な気持ちじゃ、いい加減なトレーニングしかできないし、当然その肉体も生半可な仕上りに甘んじざるを得ない。
これが筋トレの厳しくも尊い原則なのだ。
日本の筋トレとともに歩んで34年。
実は私、筋トレをはじめて34年目になる。
よくぞ飽きもせず、青年から壮年を経て、ジジイに片足を突っこんだ現在にいたるまで、筋肉鍛錬至上主義に染まり切っていたものだ。
長いようで短かった34年の歳月。
振りかえれば、この2019年春は、フィットネス業界が何度目かのピークを迎えていると実感できる。しかも、それはライフスタイルにフィットネスやら筋トレが定着しつつあるという画期的な展開を含んでいる。日本の健康生活史で、パラダイムシフトが起こっているともいえよう。
日本はフィットネスやら筋トレにおいて、欧米からン十年遅れているといわれていた。
筋トレなんかは、ごく一部の運動選手の専売特許という認識がずっと続いていたのだ。