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マラソンでは双子の弟の陰だが……。
設楽啓太の目標は「日本記録更新」。
text by
小堀隆司Takashi Kohori
photograph byYuki Suenaga
posted2019/03/06 11:30
東京マラソン、2時間14分41秒でゴールした設楽啓太。男子14位でMGC出場権獲得はならず。
マラソンでは差がついた設楽兄弟。
その啓太は大学時代、大迫や悠太とともに世代トップクラスの実力を備えていた。今でこそマラソンの実績において2人とはかなりの差が開いているが、最終学年では陸上競技部の主将を務め、箱根駅伝の5区で区間賞を奪って総合優勝に貢献するなど、いわば学生長距離界の顔ともいえる存在だった。
大学卒業後はケガの影響もあって伸び悩み、コニカミノルタを退社し、一時の浪人時代を経て現在の日立物流に籍を置くなど、もがき苦しんできた印象がある。
本人は今回の結果をどう捉えているのか。表彰式後に姿を探して、話を聞いた。
「25kmまでは余裕もあったんですけど……。後半に体力を残せませんでした」
調子自体は悪くなかった。過去2回のマラソン挑戦と比べ、練習もしっかりと積め、体調も良い状態で迎えられた。悠太の練習法を参考にしていると語り、距離走は30kmまでだが、代わりにレースペースで走るポイント練習を増やして今回のレースに臨んでいた。
「サブ10が目標で、まずはMGCの出場権を獲ろうと」
だが、悪い気象条件を跳ね返すだけの強さと経験がまだ足りなかった。
「折返し地点から向かい風に変わって、それでペースが落ちました。寒さに苦手意識はないんですけど、ここまで寒いのは想定外でした」
MGCに直行できるレースはあと1つだけ。
今回の結果を受けて、気になるのは今後のレース予定だが、啓太は「特には決めてないです」と言葉少なに話す。
MGCの出場権を賭けたシリーズレースは1週間後(3月10日)のびわ湖毎日マラソンを残すのみで、ここまでに結果が残せなかった選手は「ワイルドカード」枠を狙うしかない。4月末までに国際陸連が世界記録を公認するレースに出て、「2時間8分30秒以内」という高いレベルの記録を出すのが条件だ。
啓太にとっては自己ベスト(今回の2時間14分41秒)の大幅な記録更新が求められる上に、4月末までという時間的な制約もある。海外のレースに活路を見いだすしかないだろう。