「日本記録の更新を狙ってます」

「まだMGCを諦めたわけではありません。とりあえずは疲労を抜いて、コンディションを整えて……」

　レースを練習の一環として考える悠太流の調整法に倣えば、4月末までにもう1本マラソンを走るのは無謀なプランではない。

　今、男子マラソン界は大迫と設楽、6分台の記録を持つ井上大仁、昨年末の福岡国際マラソンを制した東洋大の後輩・服部勇馬が「4強」と呼ばれる状況にあるが、同世代が活躍する現状を見て、ライバルが奮い立たないはずはないだろう。

　今年9月に開催予定のMGCは終盤に上り坂があるより厳しいコースなので、啓太が出場を果たせば面白い存在となるのは間違いない。

　今後のレースは未定としながら、啓太は目標をこう口にした。

「近い内に記録は出したい。日本記録の更新を狙ってます」

　ビッグマウスか、はたまた有言実行となるか。かつての鉄紺のエースは、虎視眈々と主役の座を狙っている。