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一軍にいない松坂、根尾が人気独占。
転売、謎情報に揺れた中日キャンプ。
 

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小西斗真

小西斗真Toma Konishi

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photograph byKyodo News

posted2019/02/27 08:00

一軍にいない松坂、根尾が人気独占。転売、謎情報に揺れた中日キャンプ。<Number Web> photograph by Kyodo News

球団が、ファンとの接触によって右肩を痛めたと発表した松坂は2月中旬にキャンプを離れ、治療に専念。開幕は絶望視されている。

サインが“商品”になる現実。

 こうしたごく一部のファンによる行為は、実は昔から行われている。だが、せいぜい古書店などに持ち込むしかなかった時代に比べ、「販路」は飛躍的に広がった。

 なおかつ選手自身が自分のサインが商品となっている現実とその市場価格を簡単かつ嫌でもわかってしまう。金儲けに利用されているようで、いい気持ちはしないのは理解できる。したがって選手を守るべき立場にある球団は注意することになる。

 ただし「お願い」とあるように、法整備されているチケット類の転売とは違い、訴えるのは難しい。サインの求めに応じ、渡した瞬間から所有権はファンにあるからだ。

 買う人がいるから売る人がいる。自分の著作が売られていても、著者はどうしようもない。

 多くの書籍は元値より安くなるだろうが、希少な古書などであれば付加価値がつく。元値こそないが、選手のサインもやはり需要に基づくため、バカ売れした先の松坂ユニは2万5000円ほどで取引されていた。

サインを書きまくる松坂の離脱。

 こうしたファンの行為に対して、選手がやれることは2つしかない。サービスを続けるか、背を向けるか。「僕は売る価値もなくなるくらい、サインを書きまくる」と言うソフトバンクの王貞治球団会長は前者の代表人物だ。球団の「お願い」が出た後もサイン会を積極的に開いた松坂も同じく。

 大多数のファンのためにサインを書き続けるのか、ごく一部の人間のせいで書かないのか。もらう側のモラルが問われているのは言うまでもないことなのだろうが、競技者のスタンスも問われている。

 はっきりした答えを出すのが難しい転売論議がようやく落ち着いたころ、今度は松坂のキャンプ地離脱問題が大きな反響を呼んだ。発端は2月11日に球団が報道陣に向けてリリースした情報だ。

「松坂大輔投手は数日前、ファンと接触した際に右腕を引かれ、その後、右肩に違和感を覚えている為、しばらくの間ノースロー調整が続く予定です」

【次ページ】 「松坂がそう言ったから……」

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