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一軍にいない松坂、根尾が人気独占。
転売、謎情報に揺れた中日キャンプ。
text by

小西斗真Toma Konishi
photograph byKyodo News
posted2019/02/27 08:00

球団が、ファンとの接触によって右肩を痛めたと発表した松坂は2月中旬にキャンプを離れ、治療に専念。開幕は絶望視されている。
「松坂がそう言ったから……」
こうした広報部発の情報は当然のことだが「公式」であり「正確」であることは大前提だ。ということは、松坂の右肩違和感とファンに腕を引かれたことには因果関係がなければならない。そして、公表するかどうかは別問題ではあるが、最も知りたいのは「誰に」という点だ。
ところが球団はこれっきり沈黙してしまう。
「要するに松坂がそう言ったから発表した。だけど松坂は事を荒立ててほしくないとも言ったから、引っ張った人物の特定もはなからやる気はなかったようです」
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こう事情を説明するのは現役のドラゴンズ番記者だ。これらの情報が漏れ伝わったことで松坂の「狂言説」までネットでささやかれたのだが、それはさすがに松坂に失礼だ。
まず動機がない。程度は別として右肩の違和感そのものはキャンプ前からあった可能性が高いが、思わしくないのならそのままストレートに発表すればいいだけのことだ。わざわざ騒ぎが大きくなり、憶測も呼ぶ嘘をついてもメリットはないからだ。
警備体制への批判は少し気の毒。
また球団の警備体制を批判する声もネット上にあふれたが、これも少し気の毒に思う。人員は昨年の松坂フィーバーで増やしており、人気選手(もちろん松坂はその筆頭)が移動したり、サインに応じるときには必ず警備員や球団職員がつくようにしていた。
ということは激しく腕を引っ張るような明白な暴力行為があった場合、人物特定どころか取り押さえていたはずだ。そのたぐいの報告は球団には入っていないということは、警備員が気づかなかった軽微な接触ながら、松坂だけは「あれ?」と感じたことになる。
ファンに一切触れさせるなというのが任務なら、規制線を張り、選手との間に壁となればいいが、選手は触れ合おうとしている。そうなると警備員は「悪意に基づいた過激な接触」は食い止められても、少し興奮したり、たまたま手が引っかかった程度ならどうしようもない。実際、その瞬間を目撃した関係者はいないとも聞いた。