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フィギュア選手のカラダづくり。~パトリック・チャンの「お尻」で気づいた重要性~ 

text by

矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

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photograph byYuki Suenaga

posted2017/12/18 09:00

フィギュア選手のカラダづくり。~パトリック・チャンの「お尻」で気づいた重要性~<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

出水慎一トレーナー。

高度化する演技内容、増大するケガのリスク。過酷な戦いに挑む選手たちを支えるトレーナーの役割とは。

 フィギュアスケート選手にとって、パフォーマンス向上やケガの予防に欠かせない存在であるトレーナー。身体への負担が大幅に増している4回転時代の今、必要とされるトレーニングはどのようなものなのか。宮原知子や宇野昌磨の担当トレーナーである出水慎一さんに話を聞くと、興味深いトレンドが浮かび上がってきた。


 出水さんが初めて担当したフィギュア選手は小塚崇彦さん。2013年だった。すでにプログラムは高難度の時代に突入。フィギュアはそれまでに携わってきたサッカーや野球に比べてもケガのリスクが大きく、硬い氷上で転倒する痛みも含め、華やかな印象とは違う過酷な世界だった。そんな中で出水さんは、新時代に対応するための、あるポイントを発見した。それは「お尻」だ。

 きっかけは小塚さんに帯同して行ったアイスショーのバックステージで、パトリック・チャン(カナダ)の身体に触ったことだった。当時、世界チャンピオンだったチャンのお尻の立派さに目を見張った。

「小塚選手も良い筋肉でしたが、チャン選手はそれ以上。お尻の筋肉が発達している選手はジャンプも高いし、スケーティングも上手です」

 そう気づいた出水さんは、お尻を意識したメニューを増やすことにした。今ではその成果がパフォーマンスに確実に反映されている。4回転は3回転以上にスピード、身体を締める力、跳ぶ力が必要。しっかりした回転軸をつくるには脚ではなく、お尻が重要なのだが、それがうまくできているのがまさに宇野だという。

「宇野選手がジャンプをきれいに跳べる理由のひとつはスピードを活かせているからです。放物線を描きながら幅の広いジャンプをするので、加点にもなります」

この記事は雑誌『Number』の掲載記事です。
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