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<期待される主将のジレンマ>
坂本勇人「野球に全てを捧げられたら」
text by

高川武将Takeyuki Takagawa
photograph byNaoya Sanuki
posted2016/04/01 06:00

「危機感なんてないですね。楽しくやらせてもらってるんで。打つことだけが野球じゃないんで」
開幕直前のインタビュー。のっけから、坂本勇人は眼光鋭くそう言い放った。
危機感がない、本当だろうか。
高卒2年目の'08年、19歳でショートの定位置を獲得すると、瞬く間に巨人の攻守の要になった。'09年に初の3割、'10年に31本塁打、'12年に最多安打で2度目の3割をマーク。だがこの3年間は、打率2割7分前後、本塁打10本台、打点60前後と低空飛行が続いている。守備、走塁での貢献度は高く、昨年は打率、打点、勝利打点もチーム1ではある。が、卓越した打撃センスからすれば、正直、物足りない。
――このままずっと停滞しちゃうんじゃないかとは思わない?
「停滞って……僕が3割を5回も6回も打っていたらわかりますけど、2回しか打ったことがないんです。もちろん、3割も打ちたいし、30本も打ちたい。でも、自分ではこんなもんでしょうと思ってる。周りが勝手に言ってるだけやなって」
――自分の実力よりも、周りの期待や評価が大き過ぎると?
「数字を見たらそうじゃないですか。実際に打ってないですから」
――でも、自信はあるでしょう。
すると坂本は即答した。
「いや、自信はないですよ。だから、この3年はちょっとダメですけどとか言われても、いや別に、普通やけどなって。何を勝手にそんな評価してくれてんのかなぁって。そんなん言われたら、何かもう……イラーッとするんですよ。自信がないから。お前、もっと打てるだろって、そんな勝手に言わんといてよって」
こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。
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