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<日本代表監督の本音と野望>
ヴァイッド・ハリルホジッチ「私は真実を伝え続ける」
text by

松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph byTakuya Sugiyama
posted2016/01/14 06:00

数秒の熟考後、サインペンを握った右手が力強く動き始める。
gagner,gagner!!
2016年の抱負として色紙に書き込まれたのは、フランス語で「勝つ、勝つ」。しかも「!」マークが2つ。やはりこの指揮官、根っからの負けず嫌いである。
「勝つ」ために、チームにどうアプローチするか。サッカーの監督に限らず、指導者は選手を褒めて長所を伸ばすタイプと、短所を指摘して課題を克服させるタイプに分かれる。前者がブラジルW杯を指揮したザッケローニ監督ならば、ハリルホジッチ監督は後者に当てはまるだろう。
彼は“ダメだし”をためらわない。
「私が話すことをよく思わない人もいるでしょう。ただし、私は日本代表監督という立場から提案をするし、真実を伝え続けたいと思います。『たくさんのことを向上させられますよ』と伝えなければならない」
今回のインタビューでも、指揮官は日本サッカーの現実と問題点を、ためらいなく口にした。まずは、世界における日本代表の位置づけについて。来日前は、本田圭佑や香川真司ら一部の海外組しか日本人選手のことを知らなかったというが、就任から約10カ月が経過し、自身のチームをどう“査定”しているのだろうか。
「日本のFIFAランクは53位です('15年12月時点)。大まかにイメージするならば、日本は世界の3部リーグにいると思います。FIFAランクの1位から20位までが1部、21位から40位までが2部、41位から60位までが3部という定義です。私がアルジェリア代表監督に就任したときも、52位でした。ブラジルW杯後、アルジェリアは15位になりました。日本もまずは2部に上がることを考えなければならない。その後に1部リーグ。そして、W杯を戦わなければならない。ただし、そこに行くまでには本当にたくさんの仕事が待っています。
こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。
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