ファイターズ広報、記す。BACK NUMBER
栗山監督が考える優勝の条件と、
日本ハム苦節のドラ1右腕の再起。
posted2019/02/19 11:30
text by
高山通史Michifumi Takayama
photograph by
Kyodo News
春季キャンプが本格化した。2月14日、午前7時30分過ぎに那覇空港へ到着した。米アリゾナ州スコッツデールでのキャンプを打ち上げ、一軍メンバーと帰国した。
チャーター便に乗り込み、約14時間の快適な空路での移動。今回、パートナーとなった日本航空の粋な計らいもあり、快適に過ごした機内。外部との連絡手段も遮断された空間で1人、アリゾナでの1次キャンプの記憶をたどってみたのである。
ネームバリューのある新戦力の金子弌大投手、台湾のスーパースター王柏融選手、また2年目を迎えた清宮幸太郎選手らがトピックの中心で、話題をさらっていた。報道陣も、世間の耳目も集めていたのである。そんな中で、記憶の片隅に残った場面がある。
広報としての取材対応では、栗山英樹監督をカバーすることが多い。メディアとウィットに富んだやり取りをするが、1度だけ、感慨に浸りながら回想するシーンがあった。声のトーンも少しだけ違った。指揮官自らが誰に聞かれるまでもなく、その選手の名前を切り出していった。高卒から入団10年目の生え抜きである。
「中村勝が何とかしてくれる」
中村勝投手――。
2010年にドラフト1位で入団した。端正なマスクに、長い手足。私は入団当時、前職のスポーツ新聞の記者として、よく取材をする機会があった。10代のころは幼く、口数も少なく、独特のオーラを漂わせていたが、もう27歳になった。
今回のアリゾナ・キャンプ。米国時間2月11日に、韓国NCとの練習試合で登板した。4回から3番手に指名され、2回2安打1四球2失点。1イニング目は乱調で、2イニング目は3者凡退で切り抜けた。
結果が示す通り、激賞できるマウンドではなかった。それでも、栗山監督は試合後の総括で開口一番、「中村勝」の名前を挙げたのである。少し興奮気味で、感動していた。
「一番、目についたのは中村勝。今年は、中村勝が何とかしてくれる、と思ってこのキャンプにきた。ああいう選手が投げるということが大きな意味を持ち、チームの力になると思う」