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福西崇史が称える森保JのVAR対応と、
強敵イランの要注意人物はアズムン。
text by
福西崇史Takashi Fukunishi
photograph byTakuya Sugiyama
posted2019/01/25 17:30
VARによる堂安律のゴールのみの1-0だったが、酒井宏樹らの対応は非常に冷静だった。
柴崎の状態が上がっている。
特に決勝トーナメントに入ってから調子が上がってきたと感じるのは柴崎です。ボランチの相棒である遠藤が大会通じて好調ですが、柴崎も徐々に良くなっている。パスのタイミングをつかめたようで、気の利いたパスを多く出していた。これは受け手にとっても楽ですし、高い位置でボールを動かせるようになってくる。
そして途中出場した大迫です。前線で起点を作ってくれるので、攻撃のリズムに違いを生み出してくれる。彼の戦線復帰は大きなものをもたらしてくれるはずです。
準決勝は中3日で臨めるので、回復の時間はあります。疲労面については心配していませんが、対戦相手のイランはこれまでの相手よりも手強いのは間違いない。
イランはロシアW杯でグループステージ敗退に終わりましたが、スペイン、ポルトガル相手に接戦を演じました。現地でグループステージの試合を見ましたが、攻守の総合力は相当高いと感じます。準々決勝はリッピ監督率いる中国相手に3-0の快勝ですからね。
スペインやポルトガルが苦しんだ守備力は今大会でも健在で、5試合連続で無失点に抑えています。GKベイランバンドと最終ラインの連係も取れています。
イランは攻撃に迫力が。
攻撃の迫力もアジア屈指のレベルです。自分の現役時代もそうでしたが、イランの選手は伝統的に馬力があり、フィジカル勝負に屈しません。その上でテクニックもしっかりしている。
準決勝の中国戦をチェックする限り、高い位置から積極的にプレスをかけたかと思えば、最終ラインからのシンプルなロングボールを前線が収めてフィニッシュまでつなげるなど、様々な形で勢いあるアタックを仕掛けてきます。
イランで特に注意すべきは、最前線のアズムンでしょう。
20代前半ながらロシアW杯後に代表引退を表明したアズムンですが、それを撤回して今大会もエースとして4得点を挙げています。中国戦でもゴールを挙げるなど存在感を見せていましたが、一言で表現すると、万能型ストライカーです。