守り方にも見えた意識とは。

　余談ですが、実際にピッチでプレーした立場からすると、あれだけ素早い一瞬の動きでファウルがあったかどうかは、人間の目ではなかなか判別がつきません。レフリーの位置、角度によっては錯覚も生まれますしね。

　VARに対して、日本は相当心構えして臨んでいたと思います。例えば日本の最終ラインは守備時、ペナルティーエリア内で無理に足を出さないようにしていた。伸ばした足が引っかかってPK、というのは十分あり得ます。もちろんシュートコースを消すなど、寄せが必要なところはやりきっていましたが、その判断は冷静にできていたと思います。

　後半にも、酒井がペナルティーエリア内右にこぼれたセカンドボールを拾いにいって、相手選手と競うシーンがありました。酒井はそこで無理に身体を寄せにいくことなく、ファウルにならない体勢を取ってディフェンスしていました。

　また相手がサイドからクロスを上げようとした際、ブロックに行った選手がハンドにならないように両手を背中側に回していましたよね。

　こういったプレーを徹底していたのは、選手たちがしっかりとVARを頭に入れて試合に臨めていた証拠です。

累積警告も受けなかった。

　また今大会は、ベトナムとの準決勝が終わると累積警告がリセットされるレギュレーションでした。そのためベトナム戦ではすでに累積を1枚もらっている南野、堂安、酒井らをベンチに温存したり、早めに交代させるかもしれないと思ってましたが、コンビネーションや連係を重視してか、ほとんどスタメンを変えませんでした。

　その中で選手は警告をもらわずベトナムの攻撃に対処したから、誰も欠くことなく準決勝に臨めます。

　また、ベトナム戦は中2日で肉体的な疲労が出た選手もいたとはいえ、コンディション自体はどの選手も上がっている印象です。

【次ページ】　柴崎の状態が上がっている。