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前田遼一と大木武スタイルの親和性。
岐阜の練習で響く「遼一、Good!」
text by
渡辺功Isao Watanabe
photograph byFC GIFU
posted2019/01/24 10:30
J1で2度の得点王を獲得した前田遼一。37歳で迎えるシーズンは、岐阜の地でのチャレンジとなる。
ゲームをつくれるCF。
現時点では4-3-3システムのセンターフォワードでの起用が予想されるが、このポジションの選手にはフィニッシュに専念するのではなく、中盤に下がってのチャンスメイクや前線での2度追い3度追いなど、攻守で多岐に渡る役割が求められるのが岐阜のサッカーだ。
そうしたスタイルと、フットボール・インテリジェンスにあふれ「一緒にプレーしていて、やりやすい」「ゲームをつくれるセンターフォワード」などと称される前田遼一のプレースタイルとでは、高い親和性が期待できる。
'15年にFC東京に移籍して以降、年を追うごとに出場機会が減少。昨シーズンは開幕3試合目までは先発出場したもののノーゴールに終わると、その後はベンチスタート。さらにはJ3が主戦場となり、オーバーエイジ枠でFC東京U-23に参戦する週末が続いた。
それでも「どんな状況でも、与えられた場所で情熱をもって、しっかりと試合をしてくれる」(前FC東京U-23安間貴義監督、現トップチームコーチ)姿勢に変わりはなく。ひと回り以上年齢の離れた選手たちと、懸命に勝利を目指した。
FC東京でのラストマッチとなったJ1最終節の浦和レッズ戦では、68分から途中出場。追撃のゴールを決めて、健在を訴えてみせた。
この得点をはじめ、昨シーズンJ1、J3であげた4ゴールすべてがヘディングによるものだ。今回の清水キャンプにおいても、4分の1サイズのピッチで行われた11人(+GK)対11人(+GK)でのミニゲームで、打点の高いヘディングでゴールを奪う場面や、空中での競り合いに勝ってアシストするシーンがあった。
パスは最多、クロスは最少。
'18年の岐阜のスタッツを見ると、パス数(2万6881本)、パス成功率(82.6%)がリーグトップである一方で、クロス数(456本)はリーグ最少である。
それだけ際立った戦い方をしていたわけだが、シーズン44得点中ヘディングでのゴールは6で、そのうち4点がセットプレー。流れのなかから上がったクロスをヘディングで合わせたのは、第16節アルビレックス新潟戦の風間宏矢、第36節山口戦での山岸祐也の2得点だけだった。
大木監督はよく「ヘディングは高い低いじゃない。強いか弱いか。それも技術なんだ」と言うが、衰え知らずの前田の強さが、得点のバリエーションに厚みをもたらしてくれるかもしれない。