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支配率23%で勝つ森保Jの強者ぶり。
気になるのは「27」のファウル数。 

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戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2019/01/22 11:20

支配率23%で勝つ森保Jの強者ぶり。気になるのは「27」のファウル数。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

武藤までもがシュートブロックに入るなど、耐えて耐えて1-0勝利をもぎ取った日本。次は中2日のベトナム戦となる。

先制点で引いて守ることが可能に。

 サウジには'17年9月のロシアW杯アジア最終予選で0-1の苦杯をなめており、グループリーグ3試合をスカウティングすれば、ボールを握られるのは想定内である。大切なのはコンパクトな陣形を崩さずにチャレンジ&カバーを徹底し、デュエルで負けないことだ。

 攻撃では先制点の価値が高い。サウジの最前線を担うファハド・アルムワッラドは、高速ドリブルと決定力を併せ持つ。ビハインドを背負って前がかりにならざるを得なくなり、その結果として相手攻撃陣にスペースを与えてしまう展開は、日本にとって危険なシナリオに他ならない。

 それだけに、20分の先制点は大きかった。柴崎岳の左CKから、冨安健洋がヘディングシュートを突き刺す。ファーサイドのマークが甘くなるとのスカウティングを、この試合最初のCKで得点に結びつけた。

 日本がリードを奪っても、ゲームの流れは変わらない。ボールを握るのはサウジであり、日本陣内での攻防が続く。

焦れずに守りきった強さ。

 失点を覚悟する場面が、一度だけあった。61分、日本の左サイドで吉田麻也がアルムワッラドに置き去りにされ、ゴール正面からフリーでシュートを打たれた。ポゼッションサッカーでスペースを持てない相手のスピードスターに、この試合で唯一といってもいい仕事をさせてしまった場面である。

 いずれにせよ、時間の経過とともに守備に割り切って時計の針を進め、1-0のまま逃げ切ったのはトーナメントの勝ち上がりかたとして評価できる。

 これまで国内で戦ってきたテストマッチは、自分たちの良さを出すことで勝利をつかんできた。今大会のグループリーグ3試合も、快勝ではないものの要所で相手を上回ってきた。

 カウンターから追加点をあげられれば理想的だったが、最後まで焦れずに守り切ったのはチームの支えとなっていく。理想的な試合運びができなくても勝利を逃さないのは、強者が見せるべき姿のひとつだからだ。

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