【NSBC補講I】 池田純のスポーツビジネス補講BACK NUMBER
スポーツ会場の規模が小さくなる?
ボクシングが予見する興行の未来。
text by
池田純Jun Ikeda
photograph byAFLO
posted2019/01/21 07:00
昨年末、伊藤雅雪は初防衛に成功。今後はアメリカでの試合を予定している。
世界を巻き込んだ市場に。
また、先日タンパベイ・レイズは、2023年開業予定の新スタジアムの規模も小さくすることを発表しています。つまりMLBは、観客の動員数という部分で、ダウンサイジングのトレンドが始まりつつあるのです。
ところがそんなMLBと日本のNPBとの興行収入の差を見てみると、約1兆円の開きがあります。盛り上がりを見せているNPBですら、世界規模で見るとそれくらい小さなマーケットで勝負していることがわかります。
つまり、日本国内の市場だけをターゲットにスポーツビジネスを展開する時代はとっくに終焉を迎え、世界を巻き込まないと今後勝ち残っていけないわけです。
そんな中、日本スポーツ界は東京五輪に向けてさまざまな場所でスタジアムやアリーナの建設を進めています。“ハコ”をたくさん用意して、それらの客席をきちんと埋めることでスポーツを盛り上げていこうと考えているのです。
放映権が莫大になりつつある。
かつて、プロスポーツの収入源は、大きく分けてチケット・スポンサー・グッズ・放映権の4つが並立していました。「スポーツ四種の神器」と言われていたこともあります。しかしながら今、その中で放映権料がワールドワイド化によって莫大な額となり、いわば1強状態となりました。その中でいまだに観客動員数の勝負にこだわりつづけるのは危険なのではないか、と思います。
私が横浜DeNAベイスターズの球団社長だった時代、どの球団よりも先にDAZNと放映契約を結びました。「巨人、大鵬、玉子焼き」だった頃は、テレビをつければ巨人の試合をやっていて、子供たちが初めて目にするプロスポーツが巨人だったわけです。
でも今の時代はそれがインターネットに変わってきている。そこで子供たちや若年層が初めて目にするプロスポーツないしプロ野球がベイスターズなら、きっとファンになってくれてマーケットづくりが進むのではないか。そういった戦略のもと思って、いちはやく契約を結んだのです。