“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
高橋壱晟、郷家友太、檀崎竜孔……
青森山田「7番→10番」、強者の系譜。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2019/01/21 17:30
全国高校サッカー選手権での決勝戦でも躍動した檀崎竜孔。青森山田の伝統は、確実に受け継がれた。
高橋、郷家、そして檀崎。
郷家は2年生ゲームメーカーとして高橋とコンビを組み、チームの2冠(チャンピオンシップ、選手権)達成に大きく貢献している。
「ずっと『7番をもらった2年生が活躍しない訳がない』という考えで、ゴールとアシストの結果にこだわってやりました。7番という背番号のおかげで、かなり高い意識を持って2年生の時期を過ごすことができましたね」
そして、高3になると郷家は10番を託される。
「より責任感が生まれました。壱晟さんは選手権で全試合ゴールを達成して、チームを優勝に導いた。10番はすべてにおいて結果を出さないといけないという気持ちになった」
春先は10番に見合う活躍をしなければならないプレッシャーから必死でプレーをしたが、徐々に余裕が出てきて周りが見えてくるようになると……7番を引き継いだ2年生の檀崎竜孔(だんざき・りく)の姿に意識がいくようになった。
「もしかしたら、自分(の悩んだ時期)と同じような状況になってしまっているんじゃ……」
自分の後継者を気にした郷家。
郷家は、春先あたりまで自分が点を決めないといけないと思うあまり、左サイドハーフの檀崎がボールを持つと、ボールを受けられる位置に顔を出して、パスを要求していた。
その度に檀崎からパスをもらっていたわけだが……いつしか檀崎が自分に気を使うようになっているんじゃないかと考えるようになったのだ。
「自分が2年の時は、先輩のために走ったり、先輩のために仕掛けたり、『先輩のために』という思いが強く出過ぎていた1年でした。でも、自分でシュートを打つ事ができたのに、気を使ってパスを出すなど、ちょっと悪い影響が出ることもありました。
自分が3年になっていつの間にか、『竜孔にも同じ思いをさせてしまっているのではないか』と疑問を持つようになってきて……。
彼の良さはドリブル突破なのに、どうも同じユニフォームを見るとすぐにパスを出してしまう兆候があったし、ましてや僕を凄く信用してくれている分、余計に気を使ってしまっているのではないかと思ったので、『下手に顔を出さない方が良いな』と判断して、あえて離れてプレーするようにしました。竜孔の見せ場を僕が奪わないようにしてみたんです」
この時から郷家は、檀崎が単体でいけると判断した時は、距離を縮めずにフォローに走ったり、逆サイドに走ってクロスに備えるなど、後を引き継いだ7番に託したプレーをするようになった。