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白銀の青森山田からアビスパ加入。
大型CB三國ケネディエブスの6年間。
posted2019/01/23 11:30
text by
塚越始Hajime Tsukakoshi
photograph by
AFLO
雪がすべてを平等に白く覆いつくす。小学校から中学に進み、青森で一面の銀世界を最初に見た時、三國ケネディエブスは何かが新たに始まろうとしている期待に胸を弾ませた。
「真っ白の世界に、ワクワクしました」
しかし、東京出身の彼の抱いたその幻想的な風景への憧憬は、間もなく、現実に打ち砕かれる。
「練習が始まってからは、雪が降るたびにあまりにしんどくて。今は、もう雪を嫌いになりました」
理想と現実。雪との格闘は、その現実を受け止め、乗り越え、ピッチに立つ、自分自身との戦いでもあった。
高2の4月、CB転向を申し出て。
ナイジェリア人の父と日本人の母を持ち、兄のスティビアエブス(順天堂大)は2年前に青森山田が初めて全国制覇を達成した時のメンバーの1人である。その兄も、三國が臨んだ今大会の決勝の日、成人式を欠席してまで埼玉スタジアムに訪れ、弟と母校の二度目の全国優勝の瞬間に居合わせてくれたという。兄弟での全国制覇は、やはり格別だった。
FWとして青森山田中学に進学した。全国中学大会で2年連続得点王に輝き、全国制覇も成し遂げた。ただ、彼自身の中でFWとしての物足りなさを感じていた。見据える先は、果たしてプロとして通用するかどうか。
192cmという高さと強さ、そして50mを6秒フラットで走り切るスピード。その能力をより生かせるのは最終ラインではないか。FWとして積んできた経験も、むしろDFとして生かせる。そして高校2年の4月、思い切って黒田剛監督にセンターバック転向を申し出た。
ただ、返ってきたのは意外な反応だった。
「どちらでも変わらないだろう。やってみろ」