“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
高橋壱晟、郷家友太、檀崎竜孔……
青森山田「7番→10番」、強者の系譜。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2019/01/21 17:30
全国高校サッカー選手権での決勝戦でも躍動した檀崎竜孔。青森山田の伝統は、確実に受け継がれた。
「10番はゴールで示せ」
迎えた第97回全国高校サッカー選手権大会。
郷家は2、3回戦をスタジアムで観戦し、一度帰省した後、青森山田の決勝進出を受けて、流通経済大柏との決勝戦を観に埼玉スタジアムを訪れた。
「僕は10番の時に優勝ができなかったので、竜孔には決勝で暴れて欲しい。アイツも点が欲しいと思うし、『10番はゴールで示せ』というのが青森山田のスタイルなので、それに応えて欲しいなと思います」
後輩思いの優しい先輩の前で、それまで2ゴールを挙げていた檀崎は見事に期待に応えた。
同点ゴールと逆転ゴールとなる決勝弾を叩き出して、3-1の勝利に貢献。2年ぶり2度目の優勝の立役者となった。しかも、決勝での2ゴールはまさに10番になってからの進化が現れた、クロスからのワンタッチゴールだった。
「1点目は(FW佐々木)銀士の抜け出しから、来ると思って中にスプリントして走っていったら、良いボールが来て決めるだけだった。
2点目も(MFバスケス)バイロンがあれだけ右サイドをズダズダにして、クロスが入るタイミングでポジショニングを取って、マイナスのボールを落ち着いて確実に決める事ができた。自分の良さが出せたゴールでした」(檀崎)
10番が躍動した決勝戦で、存在感を放っていたのが、2年生MFの武田英寿だった。
武田の背中には7番が刻まれていた――。
青森山田の新たな司令塔として。
「ヒデ(武田)はサッカーセンスが抜群で、自分1人でも打開できる選手。インターハイの時点で、『僕より確実にプロのスカウトの目に留まっているな』と感じていたほどの選手ですから、たぶん新チームの10番になると思う。
もしそうなったときは、『自分なりの10番』像を持ってやって欲しい。僕の10番の理想像は、結果でチームを勝利に導く事。それを目標にやってきた。ヒデは自分で試合を決定付けることができる選手にもなれますし、本当に人を使う事が上手い選手なので、青森山田の新たな司令塔として頑張って欲しい」
選手権の決勝戦直後、檀崎は「後継者」にこんなエールを送っていた。
「2代目」の郷家も「英寿は2年生であれだけやれているのは凄いと思う。新らしいチームでは、自分が中心という意識を持った大きい10番になって欲しい」と高く評価した。