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メジャーで増える救援投手の先発、
オープナーは育成失敗のごまかし? 

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笹田幸嗣

笹田幸嗣Koji Sasada

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posted2019/01/14 11:00

メジャーで増える救援投手の先発、オープナーは育成失敗のごまかし?<Number Web> photograph by Getty Images

タンパベイ・レイズのケビン・キャッシュ監督は来季もオープナー制度を採用する意向を明かしている。

真の先発投手を育てるために。

 '09年。当時レッドソックスの傘下2Aでメジャーの先発投手を目指していた田澤純一は来る日も来る日も担当コーチから同じ言葉を投げかけられていた。

「1球目は外角低めに直球、2球目はカーブ、スライダーを投げる。打者がわかっていても、この2球で投手優位の状況を作り出さなければ、メジャーで先発投手は務められない」

 忠実にその言葉と向き合った田澤は渡米1年目で2段階昇格を果たし、8月11日のタイガース戦で5回、4安打、6三振、3失点でメジャー初先発、初勝利を挙げた。当時、「メジャーで投げ、教えてもらってきことの本当の意味がようやくわかった」と、田澤は言った。

 野球は勝利のために戦うスポーツ。ましてやメジャーの世界であれば尚更だ。そのための「オープナー」も理解できる。だが、機会なくして、真の先発投手は育たないという面もある。

 勝利と育成。相反した課題と向き合うことは生易しいものはない。だが、魅力ある野球界は、素晴らしい能力を持った選手が多く生まれてこそ、次世代へと繋がっていく。勝利のための「オープナー」だけでなく、先発投手をしっかりと育て上げることも忘れて欲しくないと思うこの頃である。

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