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筒香、菊池、秋山のメジャー願望を
難しくする、FA時点での年齢問題。
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byKyodo News
posted2019/01/13 11:30
筒香嘉智はトレーニングにもアメリカ式を早くから取り入れ、メジャーへの意欲を表明している。
青木宣親は「格安」の契約だった。
2012年には、ポスティングで「メジャー挑戦」を目指した当時30歳の青木宣親外野手(現東京ヤクルトスワローズ)が、ミルウォーキー・ブルワーズと2年250万ドル(3年目は球団オプション)で契約している。
1年目の年俸は1億円に届かず、これは「格安」といってもいい金額だ。これは当時のポスティング制度が入札球団の「言いなり」に近い形でしか契約できないような側面を持っていたからだろう。
それでも青木が27歳で「メジャー挑戦」していれば、入札額も入札球団も多かったはずで、契約内容も良くなっていたことは容易に想像できる。
今オフ、ポスティング制度を使って「メジャー挑戦」を実現した27歳の菊池雄星投手は、シアトル・マリナーズと総額4300万ドル(約47億3000万円)の3年契約(変則オプション契約付き)を結んだ。もしも、菊池があと数年待って30歳を超えてから「メジャー挑戦」を目指していれば、たとえフリーエージェントになっていたとしても年俸10億円を超える契約が出来たかどうか。
26~30歳が全盛期という認識。
なぜなら、メジャーでは選手の全盛期≒Prime Time(プライムタイム)が26歳から30歳までの間と認識されているからだ。実際には30代を超えて活躍している選手もいるのだが、「全体的な数からみれば少数派」である。大多数の選手はその「貴重な数年間」を超えると成績が下降し、怪我のリスクも増えるので、契約もそれに準じたものになるわけだ。
日本人野手が全盛期に「メジャー挑戦」できない理由の1つは、「海外FA権取得まで9年」というルールがあるからだ。それでは日本の高卒新人が海外FA権を取得するのは最速でも27歳の時、大卒なら最速31歳の時になってしまう。
それ以前にポスティング制度を行使するには球団幹部の了解が必要で、そのタイミングを見計らっている内に選手としての「貴重な数年間」は失われ、「FAで行くよりは若い」というぐらいの年齢になってしまうわけだ。