ワインとシエスタとフットボールとBACK NUMBER
オシムから届いた新年のメッセージ。
「走り続けること、戦い続けること」
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byTakuya Sugiyama
posted2019/01/07 17:30
今でも日本サッカーをずっとウォッチし続けているオシム元日本代表監督は、アジア杯をどう見るか?
「それは東京の未来でもある」
――しかしプレースタイルがアグレッシブすぎて結果が出ていないようです。
「過去の経験を単純に模倣しようとしても意味はない。例えば……レアルとは予算の規模が違い過ぎるのだから、同じ道を簡単には辿れないだろう。世界でも彼らほど優れた選手を集めたクラブは他にないのだから。
レアルのようなクラブを作りあげるのは他のクラブには難しい。彼らの成し遂げたことも現在の姿も理想的ではある。彼らには他のクラブにはないアイディアがあった。だからずっと先を行くことができたし、監督や選手を変えても常にトップでいられた。常に進化を遂げながら最先端を歩み続け、進化のための新たな道を常に見いだしてきたわけだ。
アトレティコ・マドリーとのライバル関係もある。
マドリードのような街で、ふたつのビッグクラブが共に生き続けていることは学ばねばならない。それは東京の未来でもある。東京にも幾つかのクラブがあり、やがてビッグクラブと呼ばれる日も来るだろう。
競争も生まれるし素晴らしい選手もそこに集まる。クラブ自体もモダンであることを求められる」
日本人の多くが欧州でプレーする時代に。
――1月にアジアカップが始まり、日本の初戦は1月9日です。
「相手はどこだ?」
――トルクメニスタンです。第2戦がオマーンで第3戦がウズベキスタンです。
「たぶんこちらでもテレビで放送されるだろう。ヨーロッパでもアジアへの関心が高まっているから。日本人も多くがヨーロッパでプレーしている。日本人や西アジアの選手たちも興味を持たれるようになった。
彼らは全力で力いっぱいプレーするし、闘争心も勇気もあるからヨーロッパでも尊重されている。
進歩のために国を離れ、環境を変えてプレーするのはいいことだ。他人の歩んだ道を辿るのは有意義だ。君らの仕事もそうだろう。他人を追いかけなければ後ろにとり残されてしまう。金も失うし仕事も失う。常にそこに存在し続ける必要がある」