ワインとシエスタとフットボールとBACK NUMBER
オシムから届いた新年のメッセージ。
「走り続けること、戦い続けること」
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byTakuya Sugiyama
posted2019/01/07 17:30
今でも日本サッカーをずっとウォッチし続けているオシム元日本代表監督は、アジア杯をどう見るか?
ファーガソンもベンゲルも働く……。
――アジアカップの間も、ロシアワールドカップ同様にまた仕事をお願いします。
「私も仕事をする必要があるかも知れない……ファーガソンがまた仕事を始めたようだから(笑)」
――そうですね。ベンゲルもほどなく再開するでしょうし。
「どうなることやら(笑)。できることなら……もう少し長生きするのもいいかもしれないな」
「学ぶべきことがあることを忘れずに」
――それでは日本の読者に新年のメッセージをいただけますか?
「メッセージか……。良かれと思ったことを求め続けていく。模倣してものごとを複雑にするのでなく、自分の力で進歩することを考えて実行する。他人ではなくあなた方自身の考えに基づきながら。日本は他のほぼすべての領域で世界の最先端を行っているのだから。スポーツでも同じことが出来るはずだ。
日本は社会構造もしっかりしているし経済力もある。自分たちだけでなく世界を進化させる力を日本は持っている。何かがうまくいかなかったからといって、簡単に放棄してしまうべきではない。サッカーの世界でも日本は大きな躍進を遂げ、満ち足りた生活を享受しているのだから。
さらにもう少し進化を遂げられれば……サッカーを巡る生活もさらに興味深いものになるだろう。それはそう遠い先にあるのではない。あなた方はすでに素晴らしい国内リーグを持っているわけだから。多くの優れたクラブが今も進化の過程にある。後ろを向くべきではない。前だけを見て進むべきだ。
学ぶべきことが今もまだたくさんあることを忘れてはいけない。
日本人選手はヨーロッパに移籍して多くのことを学んだ。しかも短い時間で。それがどれほど素晴らしいことか。日本に来る外国人選手にしても、模範になれる優れた選手を選んでいる。それこそがサッカーにおけるポリティックスのあるべき姿なのかも知れない」