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高津臣吾二軍監督に聞いてみた、
ヤクルトV字回復の背景と今季展望。
text by

生島淳Jun Ikushima
photograph byKyodo News
posted2019/01/05 11:30

9月16日、一軍デビュー戦・第1打席での村上宗隆の2ランホームラン。ヤクルトの未来の4番としての運命は、ここで決まった!
打撃の職人、青木宣親の復活。
その通りになった。
6月以降の月間打率は惚れ惚れするような数字が並んだ。
6月 3割8分8厘
7月 3割7分
8月 3割6分1厘
9月 3割2分7厘
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さすがは打撃の職人。
青木の「ボールがなかなか来ない」という知覚は正しく、青木の状態が上向くようになって、打線全体が機能するようになった。
シーズンが終わってみれば、3割打者は青木の3割2分7厘を筆頭に、雄平が3割1分8厘、苦しい序盤を牽引した坂口智隆が3割1分7厘、そして山田哲人が3割1分5厘で本塁打を34本。そいでもって、バレンティンが本塁打38本で期待された通りの仕事をしてくれた。
これだけの打者が上位に並ぶのだから、競ったゲームに持ち込めば、終盤に逆転のチャンスがある。6月から、ヤクルトは投打の歯車ががっちりと噛み合い、終わってみれば75勝66敗2分けの2位に入る。
なんとなんと、1年で一気に30勝も積み上げたのである。
上出来だろう。
菅野智之のノーヒッター時の切なさ……。
ただし、クライマックスシリーズのファーストステージで、巨人に2試合で1点しか取れずに敗れてしまったのは残念であった。
しかも第2戦で、巨人の菅野智之にノーヒッターを喫した瞬間を見るのは、切なかった。
振り返ってみると、青木がレギュラーシーズン終盤にケガをして、CSに登録はしたものの出場機会に恵まれなかったことで、打線が細った感じがした。改めて青木の存在感の大きさを感じたCSだった。