Jをめぐる冒険BACK NUMBER
現実主義のオズ&大槻体制の浦和、
最重要な補強ポイントはサイド。
posted2019/01/02 11:00
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
AFLO
まるで往年の鹿島アントラーズのような戦いぶりだった。天皇杯を制した浦和レッズのことである。
12月5日に行われた準決勝では、その鹿島のお株を奪うかのように、セットプレーで得た虎の子の1点を守り抜き、9日のベガルタ仙台との決勝でもセットプレーの流れから宇賀神友弥のスーパーボレーで先制。早くも62分には柏木陽介に代えて“クローザー”の柴戸海を送り出す。
アディショナルタイムには相手のコーナー付近でボールをキープしながら時計の針を進め、1-0ながら盤石の勝利でタイトルと来季のアジア・チャンピオンズリーグの出場権を掴み取った。
「(試合終了を告げる)笛が鳴ったあと、自分たちらしくないな、ってみんなが言っていた」と槙野智章は苦笑したが、闘う姿勢や勝負強さ、試合巧者のゲーム運びは、鹿島の元指揮官で、4月に途中就任したオズワルド・オリヴェイラ監督が植え付けたものだ。
'12年から昨季途中まで指揮を執ったミハイロ・ペトロヴィッチ監督が理想を追求するロマン主義なら、現体制は超がつくほどの現実主義。スタイルは完全に切り替わったと言っていい。
'18年序盤戦は苦しんだ。
それにしても、わずか5節で堀孝史監督が解任されたとき、このようなシーズンのエンディングをいったい誰が予想できただろうか。
もっとも、シーズン序盤に躓く予兆は、確かにあった。昨季、ACLを制したとはいえ、リーグ戦は3連敗で幕を閉じていた。しかも、始動後しばらくして、得点源として期待していたラファエル・シルバが中国へと電撃移籍を果たす。そのうえ、本格的に導入した4-3-3の攻撃的なスタイルが一向に形にならず、指揮官は求心力を失った。