Jをめぐる冒険BACK NUMBER
現実主義のオズ&大槻体制の浦和、
最重要な補強ポイントはサイド。
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byAFLO
posted2019/01/02 11:00
オリヴェイラ監督、大槻ヘッド体制は2年目となる。熱きサポーターのボルテージをさらに高める指導にも注目だ。
“大槻組長”で劇的な改善。
そんな浦和に幸運だったのは当初、新監督への“繋ぎ”と考えられていた、大槻毅暫定監督が予想以上の成果を残したことである。
浦和ユースの監督から内部昇格した指揮官は、慣れ親しんだ3-4-2-1へと戻して若手を抜擢。指揮を執った公式戦6試合4勝2分の成績をあげてチームを立て直したばかりか、オールバックの風貌と過激な檄で“組長”“アウトレイジ”と親しまれ、大原グラウンドや埼玉スタジアムにポジティブな雰囲気をもたらしたのだ。
槙野が言う。
「ひと言で言えば、ファンタスティックでしたね。言葉の力で人を動かせる方。練習を終えてクラブハウスに引き上げるとき、選手よりも人気があるくらいでしたから」
その後、バトンはオズワルド・オリヴェイラへと引き継がれた。就任当初こそ黒星がかさんだが、守備戦術やセットプレーなど足りないものを整理し、夏の中断期間にフィジカル面を鍛え直すと、中断明けから白星が先行していく。16節の名古屋戦から5試合負けなしをマークすると、26節の横浜戦からも4勝1分で順位を上げた。
人材が合わず3バック継続。
後半戦における巻き返しに向けて大きかったのは、指揮官が形にこだわらず、陣容に合った最適解を見つけたことだろう。
浦和での就任会見で指揮官は「4バックが私の好む形」と明かし、「夏の合宿中に多くのメッセージを選手たちに伝えられる。より大きな変化をもたらすことができる」と、3バックから4バックへの変更を示唆していた。
だが、純粋なサイドバックの人材がいないといった事情を考慮したのだろう、中断後も3-4-2-1を継続。さらに、それを進化させ、秋に青木拓矢、柏木、長澤和輝を中盤に並べる3-5-2という最適解を見出すのだ。それは、形にこだわって崩壊した堀体制との大きな違いだった。