Jをめぐる冒険BACK NUMBER
現実主義のオズ&大槻体制の浦和、
最重要な補強ポイントはサイド。
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byAFLO
posted2019/01/02 11:00
オリヴェイラ監督、大槻ヘッド体制は2年目となる。熱きサポーターのボルテージをさらに高める指導にも注目だ。
W杯直後の槙野と遠藤が天皇杯に。
また、指揮官の勝負への飽くなきこだわりも、浦和に勝負強さをもたらした。
7月11日の天皇杯3回戦。松本山雅とのゲームでロシア・ワールドカップを終えて帰国したばかりの槙野と遠藤航を、指揮官はスタメンで送り出すのだ。
日本代表の吉田麻也がツイッターで「Jリーグ組オフ少なすぎだよー。もっと選手の事労ってよー。笑」と投稿したことでも話題になったこの起用。オズワルド・オリヴェイラ監督は、天皇杯で優勝するために力を貸してくれと訴え、ふたりは了承したという。その試合で松本に2-1と競り勝つと、それ以降の4試合で1点も許さずに頂点へと駆け上がるのだ。
槙野が振り返る。
「おそらく鹿島にもこういうことを落とし込んだんだろうなっていう勝ち方、勝ちグセを監督は僕らにも植え付けてくれた。苦しくても身体を張って我慢すれば、必ず1点取って勝てる。チームとしてピンチのときこそ楽しむことができたと思います」
ブッフバルト時代への原点回帰。
一時代を築いたミシャ時代とは真逆のスタイルだが、それはある意味、タイトルを積み重ねた'04年~'06年のギド・ブッフバルト時代のスタイルへの原点回帰と言えるかもしれない。あのときも、固い守備というベースの上に築かれた破壊力のある攻撃によって、タイトルを掴み取ったのだ。
ベースは築かれた。あとは、それに合った選手補強ができるかどうか。
12月26日までに浦和が発表した選手補強はFW杉本健勇、MF汰木康也、DF鈴木大輔の3人。もともと前線には興梠慎三、武藤雄樹、アンドリュー・ナバウト、ファブリシオ、3バックも槙野智章、岩波拓也、マウリシオ、阿部勇樹、森脇良太と揃っているため、選手層の充実が図られた。3ボランチも青木、柏木、長澤に加え、柴戸、山田直輝が控えている。