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ラグビー早慶戦、理詰めとアドリブ。
HCが学生たちにかけた最大の賛辞。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byAFLO
posted2018/12/27 07:30
古田京主将(左)は慶応ラグビー部史上初の医学部生。彼の性格もチームの性質に影響を与えているのだろう。
慶応選手に対する最高の賛辞。
早慶戦後の原稿で私はそのことを指摘したが、準々決勝でFBに入った丹治辰碩(4年)は、1カ月前の早慶戦から比べるとコンディションが上向いたことが一目瞭然で、たびたびチャンスを演出した。ただし、チーム全体としては早稲田を驚かせるまでには至らなかったかもしれない。
分析力に秀でたチーム同士の対戦の場合、最後に勝負の分かれ目となるのは、「アドリブ」だったりする。
この日、岸岡のアドリブが冴えた。
慶応の学生諸君は、スクラムのコラプシング、そして最後のディフェンスと様々な後悔の念が渦巻いていると思う。
会見の最後、金沢篤ヘッドコーチの言葉が忘れられない。
「今年の4年生は、花園に出場した選手も多く、慶応としては珍しく才能のある代でしたが、最初はまとまりがありませんでした。それでも、最後の2、3カ月は学生だけでミーティングをするなど、プレーヤーとしてだけでなく、人間として成長したのかな、と思います」
選手に対する最高の賛辞ではないか。
慶応は戦いの場から去った。
残った学校は、帝京、天理、明治、そして早稲田の4校である。