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ラグビー早慶戦、理詰めとアドリブ。
HCが学生たちにかけた最大の賛辞。

posted2018/12/27 07:30

 
ラグビー早慶戦、理詰めとアドリブ。HCが学生たちにかけた最大の賛辞。<Number Web> photograph by AFLO

古田京主将(左)は慶応ラグビー部史上初の医学部生。彼の性格もチームの性質に影響を与えているのだろう。

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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AFLO

 会見場に現れた慶応の金沢篤ヘッドコーチと、古田京主将の短い総括が終わり、質問の時間に移った。しかし、報道陣からすぐには質問が出なかった。

 悲劇の当事者に対して、質問をすることさえ憚られる雰囲気があった。私自身も、なんと聞いたらいいのか、分からなかった。

 20-19。

 ラグビー大学選手権の準々決勝、早稲田対慶応。1点差、早稲田の勝利。

 残り30秒まで慶応は十中八九、95%、いや、間違いなく勝利を手中にしていた。しかもマイボールのスクラム。ボールをキープして蹴りだせば、1月2日の準決勝に駒を進められる。

 しかし、ここで痛恨のコラプシングの反則を取られ、運命は逆転した。

 ここから5分以上にわたり、ミスをすることなくアタックを続けた早稲田は我慢強かった。ミスの少ないプレーを選択しつつ、最後はバックスで仕留めた。

後半に突然増えた「ループ」。

 この試合、早稲田の勝因のひとつに「ループ」がある。

 ループとは、たとえば10番の選手が12番の選手にパスし、フォローに走り込んでリターンパスをもらうシンプルなプレーだ。

 このループで重要な役割を果たしたのが、スタンドオフの岸岡智樹(3年)だ。

 早稲田は突如、後半になってからループを繰り出すようになり、特に逆転された後の後半29分のアタックでは、10フェイズを超えてから岸岡からナンバー8の丸尾を経由して岸岡にループ、ここからトライ寸前までボールを運んだ(この時はゴール前で、慶応のスクラムハーフ江嵜の素晴らしいジャッカルでボールを奪取、慶応がピンチをしのいだ)。

 そして逆転トライは、最終フェイズで岸岡→12番中野→岸岡→14番長田→11番佐々木とボールが渡り、ループによってスペース的な優位を確立し、逆転へとつなげた。

【次ページ】 完全に研究されていた早稲田の攻撃。

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