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強いサンフレッチェ広島ユース復活!
高円宮杯を制し名実ともに日本一へ。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2018/12/17 17:30
名実ともに名門復活を印象づけた、サンフレッチェ広島ユースの高円宮杯での優勝。若い選手たちのトップチームでの活躍も期待される。
かつては「最強のJユース」と。
かつて、この広島の地にあって森山佳郎監督(現U-16日本代表)が10年かけて育んできた「最強のJユース」。
一時は低迷期を迎えたが、その後を引き継いだ沢田監督が、持ち前の熱意と類まれな指導力をもって「強い広島ユース」を復活させていた。
その「完全復活」を懸けて臨んだリーグファイナルで、成果ははっきりとした形となったわけだ。
前述の言葉通り、鹿島ユースが仕掛けてきた立ち上がりのラッシュを、ピッチ上の広島の選手たちは、冷静にいなしてみせたのである。
「鹿島さんはロングボールが多いので、後ろで跳ね返すだけでは厳しいと思ったので、僕らがセカンドボールを徹底して拾っていこう、と。そして、拾うだけでなくしっかりと繋ぐところまで、意識していました」
3-4-2-1の2シャドーの一角を為すMF桂陸人は、冷静に戦況を観ていた。
相手の戦術の裏をかくために。
ロングボールに対し、セカンドボールを拾うことは鉄則だ。しかし、多くのチームは相手の強い圧を感じてしまうと、焦りのせいか、せっかく拾ったボールをすぐに相手陣内に蹴り返してしまったりと、「マイボールにしてからのプレー」をどうしても雑にしてしまう。
だが、桂を筆頭にした広島ユースの選手たちは、そこで何をすべきか、はっきりと分かっていたようだ。
「拾ってからすぐに味方選手に繋ぐことで、マイボールの時間を増やすこと。そうすれば相手の前への圧力をいなすことができる。
僕はなるべく下がり目のポジションを取って、常に相手選手の間(あいだ)でポジションを取ることで、こぼれ球からのビルドアップにかかわることを選択したわけです」(桂)