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強いサンフレッチェ広島ユース復活!
高円宮杯を制し名実ともに日本一へ。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2018/12/17 17:30
名実ともに名門復活を印象づけた、サンフレッチェ広島ユースの高円宮杯での優勝。若い選手たちのトップチームでの活躍も期待される。
どうやって攻撃の圧をいなしたか?
鈴直樹、中谷超太、山崎大地の3バック、ボランチの松本大弥(トップ昇格内定)がきっちりとロングボールを弾き、そこからこぼれたボールを周りが拾って、すぐにショートパスでテンポ良く味方に繋いで相手の圧をいなす――。
「ピッチを見ていて……前半の途中で『あっ、落ち着いてきたな』と感じました。これは自分たちのペースになるかなと、その時に思いましたね。そこで点も獲れたことは、非常に良かったと思います」(沢田監督)
37分、中央の松本からのサイドチェンジを左サイドで受けたMF東俊希(トップ昇格内定)が鋭い切り返しから右足のクロス。糸を引くような正確なクロスは、ファーサイドに飛び込んだFW鮎川峻のヘッドを生み出し、広島ユースが先制に成功している。
さらに後半立ち上がりの53分にも猛攻からPKを獲得すると、MF大堀亮之介が冷静に決めて、リードを2点に広げた。
徐々に押し込まれ、1点返される。
「前半は守備で頑張って、なんとかゼロで終わるように我慢できれば、後半に相手の足が止まってきた時に、自分たちのストロングである前での強さをもっと出せたと思いますが……そこで相手に主導権を握られてしまったので。
自分たちが、無理にでも前に出て行かなければならない状況になってしまっていた」(鹿島FW・有馬)
この2点のリードは広島ユースにとって、大きなアドバンテージとなった。
ここから鹿島ユースは、焦りからか無理やり前への圧力を強めていく。
一方の広島ユースは、徐々に押し込まれるシーンが目立ち始めた。そして64分には、途中出場のFW杉山眞仁が鮮やかなダイレクトシュートを決め、1点を返されてしまう。
その直後、非常に興味深いシーンが見られた。広島の選手たちが自主的にピッチ上で集まって、なにやら意思疎通を図ってみせたのだ。