“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
“ユース教授”が誰より詳しく指南。
高校サッカー選手権の注目校&選手。
posted2018/12/29 07:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
12月30日に開幕する第97回全国高校サッカー選手権大会。毎年正月の風物詩として開催されるこの大会は、今回も大きな盛り上がりを見せようとしている。
トーナメント表をざっと見渡したとき、左側のゾーンに強豪と目される学校が偏った印象だ。決勝までに優勝候補が次々とぶつかる激戦ゾーンをどこが抜け出すかが、一番の注目ポイントとなる。
優勝候補筆頭を挙げるならば、青森山田、前橋育英、流通経済大柏、大津、東福岡の5校。そのうち流通経済大柏以外の4校が同じゾーンにいる。
2人のJ内定がいる青森山田。
まず青森山田から紹介しよう。2018年高円宮杯プレミアリーグイーストで2位に終わったが、優勝争いを演じた。ユース年代最高峰のリーグでこの成績は大きな評価に値する。
今年のチームには2人のJリーグ内定選手がいる。北海道コンサドーレ札幌入団内定のMF檀崎竜孔とアビスパ福岡入団内定のCB三國ケネディエブスだ。
三國は2018年AFC U-19選手権に高体連選手として唯一出場した。ナイジェリア人の父と日本人の母を持つ彼のストロングポイントは守備力。192cmの高さと手足の長さを駆使して、空中戦、ボール奪取、シュートブロックが光る。高校途中まではFWとして活躍し、その心理もよく理解しており、CBにコンバートされて以降、飛躍的に成長している。
まだ荒削りな部分があるが、言い換えれば大きなポテンシャルがあるということ。三國とともに今大会屈指のGKである飯田雅浩らと堅守を構築する。プレミアイーストでの失点数がリーグ2位の少なさだったのが、その強固さを示している。
左サイドハーフの檀崎は縦への突破が武器だが、そこに得点力が加わった。カットインシュートを放ったかと思えば、オフ・ザ・ボールでゴール前の危険なスペースに入り込んで、ワンタッチでゴールを射抜くパターンも身につけた。プレミアイーストで壇崎がマークしたゴール数はリーグトップの16。2位が7ゴールだから、その数字はずば抜けている。
壇崎以外にも前線のタレントは多い。屈強なフィジカルを誇るFW佐々木銀士、スキルが高い右MFのバスケス・バイロン、2シャドーには東京ヴェルディユースからやってきた武眞大、プロの争奪戦が予想される2年生レフティー・武田英寿が並ぶ。
アンカーの天笠泰輝は春先こそ安定感を欠いていたが、夏過ぎから驚くほど向上している。もともと視野が広く、パスセンスに秀でていたが、プレスバックの質など守備面で成長の跡がうかがえる。攻守の要として不可欠な存在となった。