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強いサンフレッチェ広島ユース復活!
高円宮杯を制し名実ともに日本一へ。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2018/12/17 17:30
名実ともに名門復活を印象づけた、サンフレッチェ広島ユースの高円宮杯での優勝。若い選手たちのトップチームでの活躍も期待される。
「『もう言うこと無いわ!』と」
「試合前から、失点したらもう一度みんなで締めようと決めていたので。それができて良かったと思います。
失点後の円陣では、チームの雰囲気も悪くなかったので、まだまだ行けると思いましたね」
その集まりを主導していたキャプテンの松本は、取材の時、あっさりとこう語ってくれた。
結局、その円陣のおかげか、彼らは混乱すること無く残りの時間をうまく使うことができたようだった。
「点を獲られた後に選手が自主的に集まって話すシーンなんて、これまで見たことなかったから。その風景を見て、『もう(指導者として)言うこと無いわ!』と思いましたよ(笑)」と、沢田監督も選手たちの意識には脱帽したようだった。
結局、試合はそのまま2-1のスコアで終了。
広島ユースは、沢田監督就任初となる6年ぶりの「真の高校年代日本一」という称号に返り咲いた。
沢田監督が日常的に教えてきたこと。
「途中で選手たちが自分たち自身の力で落ち着いてみせたのには、僕も正直驚きました。
山崎、鈴という経験豊富な選手が去年から出ていたのが大きいかなと思っていたし、特に(トップ昇格する予定の松本)大弥と(東)俊希は経験値も高くて落ち着いていますからね。
それが周りの選手たちにも影響していって、ぽんぽんぽんと……みんなが連鎖するように落ち着いていった。
試合前のコイントスでも、選手が風上を選ぶなど、思えば最初から彼らは落ち着いていた。この勝利は選手たちにとって自信になったと思う。選手たちは本当に良い試合をしましたと思いますよ」
沢田監督は徹頭徹尾、選手たちを讃え続けたが、そうした勝者のメンタリティーを日々の練習、生活から植え付け続けてきた沢田監督の功績があったからこその優勝であることは間違いなかった。