“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
大迫勇也の高校同期&後輩が知る、
「一番半端なかった」伝説とは。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2018/12/11 08:00
大迫勇也の高校時代を見続けてきた大迫希(左)と鮫島晃太。今はJ3藤枝でチームメートとして戦う。
一緒にプレーして受けた衝撃。
そこには大人になった希の姿があった。高校時代の希は、はっきりと分かるほど勇也に対してライバル心をむき出しにした、尖った存在だった。それでもピッチに立つと、勇也と抜群のコンビネーションを見せ、チームのホットラインになっていた。
「中学の時から勇也のことは知っていた。ドリブルでどんどん抜ける上手い選手とは思っていた。実際にチームメイトになって、一緒にプレーしてみてすぐ『ちょっと別次元にいる選手だな』と思いました。
技術もそうだけど、高1の段階でプロに行こうと決めていたほど意識もずば抜けていて、『こういう選手がプロになるんだろうな』と。でも高1のときはただ“凄い存在”だったけど、2年になってとだんだん『負けたくない』という気持ちが強くなった。勇也の方が上手いことは分かっているけど、置いていかれないように必死で食らいついていました」
鮫島は毎日一緒にバス通学。
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希が勇也に闘志を燃やす一方で、鮫島は勇也と毎日のようにバス通学する仲だった。
「住んでいる地区が同じだったんです。大迫さんが中3のときに、僕も同じ鹿児島育英館中に進学して、そこから大迫さんが高校を卒業するまでの4年間、ずっと通学しました。
家の最寄りのバス停から(鹿児島育英館中、鹿児島城西高がある)伊集院駅まで2時間弱で、大迫さんが1時間半。最初に僕が乗って、その30分後に大迫さんが乗って来て、隣に座ってずっと話をしていました」
往復3時間の道のりをともにしていると、毎日の会話の中で勇也の変化を日に日に感じ取っていたという。
「中3時から私生活でも毎日10km走ったり、食事、飲み物に気を配っていたりと意識が高かった。それは『サッカーが上手くなりたい』という一心からでした。高校に進学して以降はさらに意識が高いところにあったんです。1年生の段階で『プロに入りたい』ではなくて『プロでどう活躍するか』というところまで考えていた。
サッカーの話題もどんどん深まっていて、僕が高1の時には『今日の練習はどうだったか』とか『あの局面ではどこに出せば良かったの?』と聞くと、大迫さんは『もっとこの時にこういうタイミングで出して欲しかった』など、練習や試合の振り返りを2人でしていました」