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ジュビロは残るべくして残留し、
ヴェルディは誇りとともに散った。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byJ.LEAGUE
posted2018/12/11 17:00
入れ替え戦はジュビロの完勝だった。しかしそのことが、ヴェルディの落ち度を意味するわけではない。
得点力不足による得失点差が響いた。
ジュビロはなぜ、参入プレーオフを戦わなければならなかったのか。13位から16位への転落を招いたのは、得失点差のマイナスが大きかったからだ。
最終的に勝点41で並んだ12位の横浜F・マリノスがプラスマイナス0、13位の湘南ベルマーレと14位のサガン鳥栖がマイナス5、15位の名古屋グランパスがマイナス7だったのに対して、ジュビロはマイナス13である。最下位のV・ファーレン長崎に次いで悪い得失点差の負債が、まさかの16位転落を招いたのだった。
ところが、失点が極端に多いわけではない。48失点は4位の北海道コンサドーレ札幌、8位の清水エスパルスと並んでリーグ10位タイである。9月1日に名古屋に喫した1-6の惨敗と、10月7日の清水戦の1-5の大敗が、得失点差に大きく影響している。
'18年シーズンのジュビロは、得点力不足にも苦しめられた。35得点はサガンに次いでリーグワースト2位である。リーグ5位の50得点をあげた'17年から大きく後退した。
俊輔をはじめケガ人が続出。
その原因として考えられるのは、ケガ人の続出だっただろう。'17年に8得点を記録したブラジル人アタッカーのアダイウトンが、3月中旬に負傷した。ウズベキスタン代表MFムサエフが、同時期の代表マッチで大きなケガに見舞われた。ふたりの助っ人外国人は、その後の出場が減った状態でシーズンを終えている。
また、移籍1年目で最終ラインを担っていた新里亮も、8月上旬にケガ人リストに加わってしまった。
中村俊輔も離脱を繰り返した。移籍1年目の昨シーズンは30試合に先発して5ゴールをマークしたが、今シーズンは16試合出場で無得点だ。
参入プレーオフ出場が決まったフロンターレ戦後、名波浩監督は「通常でいえば3クラブが自動降格だと思うので、今季はこのレギュレーションに助けられたと思って、J1参入プレーオフは必死で戦いたい」と話したが、今シーズンのジュビロが積み上げた勝点41は、'17年なら12位、'16年なら13位、'15年なら11位に相当する。例年なら安全圏内だったわけだ。そう考えると、ジュビロのJ1残留に驚きはなかった。