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ジュビロは残るべくして残留し、
ヴェルディは誇りとともに散った。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byJ.LEAGUE
posted2018/12/11 17:00
入れ替え戦はジュビロの完勝だった。しかしそのことが、ヴェルディの落ち度を意味するわけではない。
異例の非公開練習にも理由があった。
ヴェルディ戦を控えたトレーニングを、名波監督は非公開にした。公開を常としてきた指揮官の変化もまた、ジュビロが危機感に包まれるとの観測をあおったが、彼らには隠せるオプションがあったと言える。それがアダイウトンの先発復帰と、小川航基のスタメン抜擢だっただろう。
ヴェルディはどうだったか。リーグ戦終盤の負傷によりプレーオフ1回戦はメンバー外で、2回戦は途中出場したドウグラス・ヴィエイラが、ジュビロ戦の先発に名を連ねた。チーム最多得点のブラジル人ストライカーが復帰した一方で、7月の追加登録から40節の松本戦まで17試合連続でピッチに立っていた泉澤仁は、ケガでプレーオフに出場できなかった。
中村と川又堅碁がベンチに控えていたジュビロに比べると、絶対的なオプションが足りなかったと言わざるを得ない。
ヴェルディが生んだ才能たち。
とはいえ、ロティーナ監督とその仲間たちを責めることはできないだろう。'08年を最後にJ1から遠ざかっているものの、ヴェルディは将来性豊かな人材を続々と輩出している。いまや日本代表で背番号10を背負う中島翔哉も、オランダのヘーレンフェーンでプレーする小林祐希も、読売クラブの遺伝子を継承する育成組織からプロデビューを飾った。
鹿島アントラーズ移籍をきっかけに日本代表入りした三竿健斗は、'15年までヴェルディのユニフォームを着てプレーしていた。ヴェルディと入れ替わりでJ1に残留したグランパスでは、中島と同期生の前田直輝がシーズン途中の加入でチーム2位の7ゴールをあげた。プレーオフでヴェルディに立ちはだかったジュビロの高橋祥平も、ヴェルディを出発点にプロのキャリアを積み上げていた27歳だ。
今シーズン開幕前には、複数ポジションをこなすオールラウンダーの安西幸輝がアントラーズへ移籍した。リオ五輪1次予選に出場した左サイドのスペシャリスト安在和樹も、サガン鳥栖へ新天地を求めた。さらにシーズン途中には、それまでリーグ戦全試合に出場していたセンターバックの畠中槙之輔を横浜F・マリノスに引き抜かれた。