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バスケ日本代表の隠れた成長点。
渡邊、八村の陰でチームも伸びていた。 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byItaru Chiba

posted2018/12/08 09:00

バスケ日本代表の隠れた成長点。渡邊、八村の陰でチームも伸びていた。<Number Web> photograph by Itaru Chiba

カザフスタン戦では29分出場し7得点4アシスト3スティール。ディフェンス面でも献身的なプレーを見せた田中。

急造PGのはずの田中大貴が……。

 そこで起用されたのが、本来はシューティングガード(SG)の田中大貴だった。「練習でも1、2回しかやっていなかった」という田中がPGに入ってから、日本は怒濤の攻撃をしかけ、およそ2分の間に9ポイントを奪い、カタールを引き離しにかかる。

 そして、残り4分18秒。リバウンドからの速攻を繰り出し、田中のパスを受けた馬場雄大がダンクシュートを決める。それがファウルを受けてバスケットカウントとなり、フリースローも沈めて点差を12点に広げ、試合の流れを大きく引き寄せた。

 直後にファジーカスが下がって張本天傑がパワーフォワードに入り、竹内讓次がファジーカスに代わって、センターに回った。高さでは劣るものの、機動力のあるメンバーがコートに立ったことで日本はアグレッシブな守備からの速攻を繰り出せるようになった。勝負を決めた3Qでは相手をわずか8点に抑え、その守備からの速攻が面白いように決まり、日本はこのクォーターだけで30点を記録し、終わってみれば85-47と大勝した。

チームでの連係が代表でも生きる。

 田中が所属するアルバルク東京では、ルカ・パヴィチェビッチHC(ヘッドコーチ)が「コートには3人のガードと、2人のインサイドの選手がいると考えろ」と話している。だからこそ田中は、アルバルク東京でプレーする竹内と馬場がいる時間帯にはこんなことを考えていたという。

「讓次さんと雄大とは普段一緒にやっていて、彼らがやりたいことというか、そういのは他のメンバーよりも自分はわかっていたので、やりやすいようにやらせてあげられればなとは思っていました。雄大はスピードがすごくあるので、雄大に早めにボールを渡して、プッシュしようと」

 竹内讓次はむしろ、田中がPGだったからこそできたプレーがあったことを明かしている。

「僕ら3人の阿吽の呼吸のようなものは見せられたんじゃないかなと。僕が4Qで3ポイントを決めたのは大貴からのパスでしたし、ゴール下に飛び込んで(馬場からのパスを受けて)決めたのも、アルバルクでやっているプレーですからね。それが代表でも出せるのは僕らの強みです」

「大貴さんからは『常に前に走って、準備をしておけ』と言われていました」

 勝負を決定づけたダンクシュートを生んだメッセージを明かした馬場は、続けてこう振り返った。

「どうしたら勝てるか、というのは僕たちのなかで理解してきたという感じです。ディフェンスを頑張って走るバスケがラマスコーチの求めるバスケだと思ったので、そこを徹底しようと思って、あの流れになったのではないかなと思います」

【次ページ】 カザフスタンは厳しい立ち上がり。

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