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バスケ日本代表の隠れた成長点。
渡邊、八村の陰でチームも伸びていた。
posted2018/12/08 09:00
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Itaru Chiba
このチームは、前に進んでいるのか。
バスケットボール日本代表の2018年最後のワールドカップ予選2試合は、それを問われる戦いになった。
来年に控える中国ワールドカップの予選で日本は初戦から4連敗を喫し、敗退の危機に瀕していた。しかしそこから4連勝を飾り、予選の成績を4勝4敗として11月30日のカタール戦、12月3日のカザフスタン戦を迎えることになった。
日本の巻き返しを語る上で、4月にニック・ファジーカスの帰化が認められたこと、6月に八村塁が、9月に渡邊雄太が代表に合流したことが大きかったのは間違いない。日本が4連敗を喫した時には、彼ら3人はいなかったのだから。
しかし、今回の2試合はアメリカのシーズンの真っ最中に組まれていた。アメリカでは代表戦に伴う各リーグ戦の中断期間も設けられていないため、メンフィス・グリズリーズでNBAデビューを果たしたばかりの渡邊も、ゴンザガ大で活躍する八村の姿もない。
2人がいない状況をどうするか。
彼らの不在はどう影響するか。日本代表の選手たちは、その点について何十回も質問を受けてきた。
何しろ、彼らなしで戦った4戦は全敗だったからだ。
それでも、予選の全試合に出場してきた篠山竜青はこう話していた。
「ここにいるみんなが、日本代表じゃないですか? だから誰がいるか、いないかは意識しないです。何より1年前と今では、みんなそれぞれ単純に経験値が違いますし、4連敗したあとに4連勝できたという自信もある。4連敗のころと今とでは、そこが違うのかなと思います」
11月30日、グループ最下位のカタールとの試合では、1Qは20-15とリードして終えるも、2Qには逆転を許して、31-32と1点ビハインドでハーフタイムを迎える。しかも、ポイントガード(PG)で先発した富樫勇樹が2Qの序盤に右足首を痛めて交代するという苦しい展開だった。
さらに富樫に代わって出場した篠山も、3Qが始まってから間もなく3つ目のファウルを犯して、ベンチに下がらざるを得なくなった。この試合、本職のPGは2人しかメンバー入りしていない。この時点で、本職の選手がコートからいなくなってしまった。