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八村、渡邊不在もW杯予選6連勝。
比江島慎が豪州で得た逞しさとは。
posted2018/12/06 07:30
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
Itaru Chiba
不安を吹き飛ばす活躍に、胸を熱くさせた人は多かったのではないだろうか。
11月30日と12月3日に富山市総合体育館で行われたFIBAワールドカップアジア地区2次予選Window5。男子日本代表アカツキファイブは、カタールを85-47、カザフスタンを86-70で破って1次予選からの連勝を6に伸ばし、とうとうワールドカップ出場圏内の3位に浮上した。
そして、米国でプレーしている八村塁と渡邊雄太の主力2人を欠く中で存在感をたっぷりと示したのが、オーストラリアNBLから招集された比江島慎(ブリスベン・ブレッツ)だった。
カタール戦こそ試合勘不足で序盤にファウルがかさんでプレータイムは20分にとどまったが、それでも12得点。一気に調子を取り戻すと、カタール戦に続いてスターティング5に名を連ねたカザフスタン戦では、25分間の出場。攻撃面ではチーム最多41得点のニック・ファジーカスに次ぐ14得点をマークした。
さすが比江島だと言ってしまえばそれまでだが、今季10試合を終えているブリスベンでわずか2分しかコートに立っていない彼が、ハイレベルなパフォーマンスをしっかりと見せることができた背景には何があったのだろうか。
ラマスHCから電話で激励。
Window5を前に比江島は、試合勘に対する不安の声を吹き飛ばすように、このように話していた。
「向こうでは試合に出ていないけど、練習はしてきました。久々に日本代表に参加して良い手応えがあるので、問題はないと思います」
オーストラリアから帰国する前に日本代表フリオ・ラマスHCと直接電話で話し、八村と渡辺が参加しないことを聞かされて「今まで以上に攻撃に参加して欲しい。もっともっとアグレッシブに行って欲しい」という指示を受けていたのも大きかった。
「心の準備はできています。日本は崖っぷちにいますが、今まで通りに力を出せれば勝てる相手だと思っています」
おっとりした口調に変化はなかったが、強い気持ちが前面に出ていた。その姿には、オーストラリアでの苦労と成果のすべてを日本代表に還元したいという闘志が、静かではあるが確かに見えていた。