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バスケ日本代表の隠れた成長点。
渡邊、八村の陰でチームも伸びていた。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byItaru Chiba
posted2018/12/08 09:00
カザフスタン戦では29分出場し7得点4アシスト3スティール。ディフェンス面でも献身的なプレーを見せた田中。
カザフスタンは厳しい立ち上がり。
カタール戦の3日後、グループ3位のフィリピンをやぶって勢いに乗るカザフスタンを、迎え撃つことになった。
激しい守備をしてから、走ってゴールを奪う。
そんな意識は選手たちのなかに浸透していたが、この試合も望み通りの展開になったわけではない。
カザフスタンはファジーカスのローポストからのシュートをほとんど止められず、最終的には彼がチーム全体の約半分を占める41得点という大活躍を見せたのは間違いない。
しかし――。
1Qは19-25と6点のビハインドで終わった。2Qで逆転して1点リードで3Qを迎えたものの、終盤までもつれる不穏な展開。日本の勝ちパターンとは逆の展開だった。
ファウルの判定に苦しむ。
そこまで苦しんだのは、日本の選手たちが次々とファウルを犯してしまったからだ。
PGの篠山は第1Q後半の短い時間で2つのファウルをとられた。その結果、負傷した右足首の痛みが消えていない富樫が、すぐにコートに戻らなければならなくなった。
さらに、PFを任される竹内と張本の2人が最終的に退場を命じられるなど、ハードな守備と引き替えに、ファウルがかさむ苦しい展開だった。
それでも3Qの終盤に篠山のパスを受けて走った馬場が勝ち越しのダンクを決めると、4Qの最後は本職のPFなしで守り切り、86-70で勝利する。
6連勝を果たした日本はグループFの3位に浮上した。予選も残り2試合、一時は絶望的に見えたワールドカップ本大会への出場を、自力で達成できるところまでこぎつけた。
勝負の行方を決した3Q後半にコートに立っていた篠山は、勝因をこう語った。
「僕らとしては、ファストブレイク(速攻)から流れを持っていきたい。そうなると、頑張らないといけないのはディフェンスです。そのディフェンスで、何度もファウルを吹かれてしまいました。
カザフスタン戦は、予選で最もファウルの判定に苦しみました。それでもめげずに、『自分たちがやるべきことはディフェンスだ!』という考えをみんなが共有していた。みんなで苦しい状況をカバーしあって、勝利できたことにチームとしての成長を感じて、すごく嬉しいです」