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早明戦は日本ラグビーの「宝」だ。
伝統のスタイルを乗り越えて進め。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byKyodo News
posted2018/12/04 16:30
早稲田と明治の激闘の結末は、赤黒軍団が8年ぶりの対抗戦優勝を果たすというドラマチックなものだった。
W杯イヤーの再戦はなるか?
こうして早明戦からは、両校の現在地が見えてくる。
早明両校ともに、40、50代の大学ラグビー黄金期を知る世代が共有してきた「価値観」とは違うスタイルで頂点を目指していると見ていい。
そしていよいよステージは大学選手権に突入するが、早稲田は22日に慶応と京都産業大の勝者と対戦する。
明治は16日に大阪で立命館大との対戦が控え、勝ち上がれば準々決勝で東海大と顔を合わせる。
早稲田と明治がいま一度、顔を合わせることがあるとすれば、年が改まり、ワールドカップ・イヤーを迎えた1月2日の準決勝となる。
明治については、田中監督の求めているラグビーのレベルが高く、選手の成長が追いつけるかどうか、時間との勝負になるだろう。特にSHが担う役割は大きく、福田主将が化けるかどうかがポイントになる。
トーナメントは早慶明が集中。
早稲田は、対抗戦で優勝したことで20日間の猶予が持てるのが大きい。
早明戦で浮き彫りになったスクラム(これが克服可能な“弱点”なのか、それとも強化の難しい“欠点”なのかは判断がつかない)、さらには黄金BKのセットプレーからの仕掛けも整備してくるだろう。
明治に敗れたとはいえ、やはり10連覇を目指す帝京が本命であることは間違いなく、関西王者の天理大、関東大学リーグ戦2位の大東文化大も侮れない。
そして組み合わせの右側の山に「早慶明」が集中したが、ライバルたちが再び相まみえることができるのか。
今季の大学選手権は、きっと面白い。