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早明戦は日本ラグビーの「宝」だ。
伝統のスタイルを乗り越えて進め。
posted2018/12/04 16:30
![早明戦は日本ラグビーの「宝」だ。伝統のスタイルを乗り越えて進め。<Number Web> photograph by Kyodo News](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/1/0/1500wm/img_100ba9411e872c116eb4c411f0f0687b196830.jpg)
早稲田と明治の激闘の結末は、赤黒軍団が8年ぶりの対抗戦優勝を果たすというドラマチックなものだった。
text by
![生島淳](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/7/4/-/img_746f83dd4814ce9e272d231112e07dfb3376.jpg)
生島淳Jun Ikushima
photograph by
Kyodo News
やっぱり、接戦になった。
81分になって早稲田31、明治27。
こうなると、勝負はどちらに転がるか分からなかった。最終的に早稲田が逃げ切ったが、紙一重の差でしかない。
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どうして早明戦は、こんなにも面白いのか?
今年の試合を見ながら、早明戦は選手、ラグビー部関係者だけでなく、ファン、卒業生を含めた全員が「当事者意識」にあふれているからではないか……と思い当たった。
明治のFWが突進し、ラインブレイクした時の地鳴りのような明治ファンの歓声。これは、日本のラグビーの「宝」ではないか。
そして劣勢のスクラムで息をひそめ、BKがボールを展開してトライを奪った時の歓喜の爆発もまた宝である。
明治、早稲田のイメージとズレ。
ではなぜ、ファンも含めて当事者意識を持てるかと言えば、それぞれのラグビーの「理想形」を全員が共有しているからだ。
重戦車FW。すなわち明治。
BKの揺さぶり。それこそ早稲田。
両軍のイメージがメディアだけでなく、全国のファンに浸透しているのは先人たちが築いてきた伝統のおかげである。
ただし今年の早明戦に限って言えば、従来のイメージとの「ずれ」がある。そこに勝負の綾があった。
明治は重戦車を有しつつ、才能豊かなBKとの「ハイブリッド」志向が感じられる。