“Mr.ドラフト”の野球日記BACK NUMBER
迷える巨人に今一番必要なのは、
FA戦略の休止ではないだろうか……。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byKyodo News
posted2018/12/10 10:30
入団記者会見で背番号27を披露する炭谷銀仁朗捕手と原辰徳監督。
巨人の捕手獲得に一貫性はあるか?
資金力のある巨人と言っても、他球団の超一流選手は国内よりメジャーリーグでプレーする傾向にあるので、チームの補強はドラフトを主体に考えなければならない。
しかし、'13年に小林を1位指名して以降、'15年に宇佐見を4位、'17年に岸田を2位、大城を3位で獲得しているのである。
'13年と'17年は完全に即戦力型のキャッチャーをめざした指名だったはずなのに、今オフに炭谷を獲得していることから考えると、その2回のドラフトは失敗だったことにならないか。
ドラフトを考えるとき、1回の失敗は1年の遅れだけにとどまるものではないのである。
他球団が成功していれば2年の遅れにもなるわけだ。
巨人のFA戦略を検証すると……。
'13年に小林を1位指名したとき、広島は1位大瀬良大地、2位九里亜蓮、3位田中広輔、5位中村祐太という完璧な指名をしているのでここで2年の遅れを取っている。
宇佐見を4位指名した'15年、広島は1位岡田明丈、5位西川龍馬を指名しているので、ここでも2年の遅れを取っている。
広島の3連覇に対して、巨人が過去3年間で2位→4位→3位にとどまっているのは、ドラフト戦略からだけ見ても、至極当たり前なのである。
丸はもちろん戦力になると思う。
来季の巨人の外野陣は陽岱鋼、丸、長野久義が主体になり、'18年に中日から移籍したゲレーロ、'18年に自身2度目の規定打席に到達し、107安打を放った亀井善行は控えに回るだろう。
中堅の橋本到は楽天に移籍し出場機会が増えそうだが、残留する重信慎之介、立岡宗一郎は割を食いそうだし、二軍で2ケタ本塁打を放った石川慎吾、和田恋は限定された出場機会しか与えられないだろう。
丸の獲得は自軍の戦力アップ以外にも広島の戦力低下の狙いもありそうだが、西武や日本ハムの過去の例を見ればわかるように、主力選手の流出には新陳代謝を促すというプラス面があることは、決して無視できない。