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金子投手の日本ハム入りで思い出す、
大谷翔平との全球ストレート勝負。
posted2018/12/11 11:30
text by
田中大貴Daiki Tanaka
photograph by
Kyodo News
「大貴さん、僕、東京とシアトルに行こうと思います」
11月に入る頃、去就が注目される中で、メジャーリーグで注目されている投手トレーニングプログラムを経験しに、東京とシアトルに行かないかと声を掛けてみました。金子千尋(弌大に登録名変更)という自らのペースが出来上がっているベテラン投手には断られると思っていました。
普段はボールを投げない時期。ましてや今年の状況を考えると体を休ませると思っていました。無理だろうと思ってした誘いでした。
「年齢を考えれれば最後のチャンスです。行きたいです。今年は悩んで、悩み続けて、考え事ばかりしていました。この状況を変えたいと思います。まだ勝負できると思っています」
彼の口から出てきた言葉に、胸が熱くなりました。
怪我に悩んだ男が笑顔に。
「悩んで考え事ばかりしていた」
沢村賞投手となった2014年以降、怪我に悩まされ、野球人生の先が見えなくなるような瞬間が幾度もあったと言います。特に今季は1人になった瞬間、塞ぎ込む自分がいたと言います。入団以降、金子投手を取材してきて、自らの苦しい状況をこんなにも吐露するのは初めてのことでした。
ただ11月、精力的にトレーニングを行なう金子投手の姿を取材をしていると、日に日に笑顔になっていきました。
右肩の回復を目指し、トレーニングジム「トータル・ワークアウト」で多くのトップアスリートを見てきたケビン山崎トレーナーと出会い、大阪と東京で集中トレーニング合宿を行い、そしてシアトルに渡り、更に貪欲にトレーニングに励んでいました。