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マンUとマンCの立場が完全に逆転。
名門凋落の理由は過剰な商業主義か。
posted2018/11/17 17:00
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph by
Uniphoto Press
その昔、マンチェスター・ユナイテッドはローカルライバルを歯牙にもかけなかった。「マンチェスター・シティ? どこのどいつだい?」といった風情である。
初対戦となった1894-95シーズンは、いきなりダブルを食らわせた。1953年以降5分け2敗となったこともあったが、その後の8試合は6勝2分で借りをきっちり返している。
また、イングランド1部リーグにおける優勝回数もユナイテッドの7回に対し、シティは2回。同じマンチェスターを本拠にするとはいえ、ライバル関係が成立するような間柄ではなかった。
トップリーグの名称が、イングランド1部からプレミアと改称された1992-93シーズン以降も、両チームの立ち位置に変化はなかった。
1993-94シーズンから3年連続でダブル。1995-96シーズンはFAカップでも2-1の勝利。ダービーマッチとは名ばかりで、ユナイテッドはシティを完全に見下ろしていた。しかもシティは、1996-97シーズンからは4シーズンに渡り下部リーグで苦しみもがいていた。
1998-99シーズンには3部まで降格した。この間カップ戦でもマンチェスターダービーは実現せず、両チームの再会は、シティがプレミアリーグに復帰する2000-01シーズンまで待たなければならなかった。
買収で変わった立ち位置。
2000-01シーズン以降も、大きな変化は生じていない。
ダービーマッチで互角の展開を見せたシーズンもあったが、それはユナイテッドがシティを意識していなかったからだ。
赤い悪魔がライバルと目していたのはアーセナル、リバプール、チェルシー。シティ戦はテンションが上がらず、アレックス・ファーガソン監督(当時)が主力を休ませるケースも少なくはなかった。
しかし、買収によって両チームの立ち位置が変わる……。
2005年、ユナイテッドはグレイザー・ファミリーに、2008年、シティは『アブダビ・ユナイテッドグループ』(以下ADUG)に買収された。以降、両チームは対照的な曲線を描き始める。