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マンUとマンCの立場が完全に逆転。
名門凋落の理由は過剰な商業主義か。
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph byUniphoto Press
posted2018/11/17 17:00
かつてユナイテッドの足元にも及ばなかったシティ。今やクラブとしての地力で逆転しつつある。
強化かビジネスかの目的意識。
目的意識の違いだろうか。『ADUG』は、純粋にシティを強くしようとしている。カネの使い方がグレーゾーンだったとしても、獲得した選手はすべてペップの希望に添うもので、強化担当チキ・ベギリスタインとは常に意見をすり合わせている。
今シーズンの新戦力であるリヤド・マフレズも早々とフィットし、冬の市場でアンカーを補強するため、グアルディオラとベギリスタインが作成したリストを携えた強化部門のスタッフがブンデスリーガの会場でたびたび目撃されているという。メインターゲットはドルトムントのユリアン・バイグルか。
翻ってユナイテッドはビジネス、ビジネス、ビジネス。商業的な意識が非常に強い。『シボレー』『アディダス』『キヤノン』など大手企業とのスポンサーシップ締結で多くの富をもたらすウッドワードに、グレイザーは全幅の信頼を寄せている。
監督、選手の人選に疑問符。
補強で失敗を繰り返すだけでなく、デイビッド・モイーズ、ルイス・ファンハール、ジョゼ・モウリーニョと監督の人選に一貫性を欠いても、一切クレームはつけない。アンヘル・ディマリア(現パリSG)、ダレイ・ブリント(現アヤックス)、バスティアン・シュバインシュタイガー(現シカゴ・ファイアー)といった実力者が本領を発揮できなかったのは、彼らの個性と合致する監督に出会わなかったからだ。
リンデロフ、アレクシス・サンチェス、ヘンリク・ムヒタリアン(現アーセナル)は、モウリーニョのリクエストに基づいた人選だったのか。エージェントPことポグバの尽力があったからこそロメル・ルカクの補強が実り、ネマニャ・マティッチはモウリーニョのコネクションによって加入している。
強化において、ウッドワードの手腕には大きすぎる疑問符だけがついて回る。一日も早く権限を剥奪し、市場に精通する有能なディレクターを招聘するべきだ。