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マンUとマンCの立場が完全に逆転。
名門凋落の理由は過剰な商業主義か。 

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粕谷秀樹

粕谷秀樹Hideki Kasuya

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photograph byUniphoto Press

posted2018/11/17 17:00

マンUとマンCの立場が完全に逆転。名門凋落の理由は過剰な商業主義か。<Number Web> photograph by Uniphoto Press

かつてユナイテッドの足元にも及ばなかったシティ。今やクラブとしての地力で逆転しつつある。

グレイザー体制でマンUは……。

 グレイザーが数百億、いやいや数千億とも言われる借財をしてまでユナイテッドを買い取った結果、補強費に制限がかかった。

 百戦錬磨のファーガソンをもってしても市場で後手を踏み、'05年以降の加入者を見るとエドウィン・ファンデルサール、マイケル・キャリック(ともに引退)、カルロス・テベス(現ボカ・ジュニアーズ)、ダビド・デヘア、ロビン・ファンペルシ(現フェイエノールト)など、限られた者だけが成功している。

 サー・アレックス退陣後に強化の権限を得たエドワード・ウッドワードは、市場で信用を得られていない。あくまで企業マンだ。業界では顔が利かず、エージェントに足もとをみられる。

 マルアヌ・フェライニ、マルコス・ロホ、メンフィス・デパイ(現リヨン)、ビクトル・リンデロフら、ユナイテッドのブランドイメージを貶める連中をつかまされている事実が、ウッドワードの“無能の証明”だ。

補強を当て続けているマンC。

 一方、『ADUG』の大型投資がファイナンシャル・フェアプレーに抵触もしたシティだが、2010-11シーズンにダビド・シルバ、翌シーズンにセルヒオ・アグエロと、現在の大黒柱を獲得している。

 さらに2015-16シーズンはケビン・デブライネとラヒーム・スターリングを招き、ジョゼップ・グアルディオラ監督が就任した一昨シーズンはジョン・ストーンズ、レロイ・サネ、イルカイ・ギュンドガン。

 そして昨シーズンはエデルソン、カイル・ウォーカー、アイメリック・ラポルト、バンジャマン・メンディ、ベルナルド・シウバといった具合に、補強がものの見事に当たっている。

 特にペップ体制となってからは成功例が多く、プレミアリーグのフィジカルに挫折したクラウディオ・ブラボ、戦術的な理解度が向上せず、わずか1年でセビージャに移籍したノリートを除くほぼ全員が周囲の信頼を勝ち取っている。

 2016-17シーズン以降の補強費はシティが2億1400万ポンド(約299億6000万円)、ユナイテッドは2億2000万ポンド(約308億円)。ポール・ポグバの獲得に1億ポンド(約140億円)を注ぎ込んでいるとはいえ、どちらが無駄であるかはいうまでもない。強化部門のレベルに大きな開きがあることは、誰の目にも明らかだ。

【次ページ】 強化かビジネスかの目的意識。

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