第95回箱根駅伝出場校紹介BACK NUMBER
「エース」と「山」が課題の大東文化大学。
古豪・中央大学には復活の兆し。
text by
箱根駅伝2019取材チームhakone ekiden 2019
photograph byYuki Suenaga
posted2018/12/11 11:00
進境著しい、ふたりの下級生。
上位層は確実に力をつけている。さらに中間層も力を蓄えつつある。中山の他にも1時間3分台で走った選手が、池田勘汰(2年)と三浦拓朗(1年)の下級生ふたり。これは中央大学の将来にとって明るいニュースだ。
特に池田は10月27日にキャンパス内で行われた中央大学記録会の5000mで、14分22秒52 の自己ベストをマークし、スピードにも磨きがかかってきた。前回の箱根駅伝の9区では区間18位と苦戦したが、この1年で着実に力を伸ばしていることが分かる。
予選会の結果を受け藤原監督は、
「気温が低くなり、序盤は速い展開になりましたが、そのなかでも堀尾が先頭集団でレースが出来たのは力がついてきた証拠ですし、本大会でも往路の重要区間でしっかりと仕事をしてくれる手ごたえを得ました。池田、三浦に関しては、1月に向けていいコンディションで臨ませることが監督としての仕事かと思います」
と振り返った。
山上りのためにあえて温存した男。
ただ、予選会で気になったのは、前回の5区を担当した畝拓夢(2年)の名前がなかったことだ。藤原監督がニヤリとしながら種明かしをしてくれた。
「畝は、山上りのためにも温存しました」
この言葉からは、ふたつのことが読み取れる。
シード権獲得のため、藤原監督が5区に万全の体制を作ろうとしていること。
もうひとつは、畝を予選会のメンバーから外したとしても、十分に予選会は突破できると藤原監督は考えていたということだ。それだけ戦力に余裕が生まれているわけで、畝が走っていれば上位5位以内での通過も現実的だっただろう。
こう見てくると、中央大学の戦力が上がっていることは明らかだろう。前回大会も往路は10位でフィニッシュし、シード権獲得に望みを抱かせた。しかし、復路では選手層の薄さを露呈してしまい、15位に沈んだ。
主力の成長と、特殊区間の十分な準備。残るファクターは、復路を走るであろう中間層の成長だけだ。
夜明け前の闇は、いちばん深い。2019年の箱根駅伝、中央大学は耐える時期をようやく抜け出せるかもしれない。