第95回箱根駅伝出場校紹介BACK NUMBER
「エース」と「山」が課題の大東文化大学。
古豪・中央大学には復活の兆し。
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箱根駅伝2019取材チームhakone ekiden 2019
photograph byYuki Suenaga
posted2018/12/11 11:00
絶対的エースとなりうる川澄。
予選会では川澄克弥(3年)と奈良凌介(3年)の2人をフリーで走らせ、各校のエースたちと渡りあってくれることを期待したという。だが好コンディション下でのハイペースなレースにうまくついていくことができず、川澄が全体39位、奈良が52位ともうひとつの結果だった。
「もちろんフリーで走らせる以上『失敗してもいいから』とは言っています。ただ、その結果として他校のエースに負けているのもまた事実。4年生もいますが、今年のチームの主軸である3年生が柱になってこないといけない。そこができてくるとチームの形も見えてくると思います」(奈良監督)
そんなチームの絶対的エースとなりうる可能性を秘めるのが、川澄だろう。5月の関東インカレ10000mでは各校の主力級と渡り合い5位入賞するなど地力を見せており、今回の予選会でもチーム内ではトップの走り。関東インカレではハーフマラソンでも11位に入っており、長い距離への適性もある。前回の箱根駅伝では3区12位と不完全燃焼だったものの、トラックの実績をロードに繋げられれば、チームを勢いづける走りができるはずだ。
「山の大東」復活なるか。
もう1つの課題は、5区と6区を走る山要員の存在だという。かつては「山の大東」と呼ばれ多くのスペシャリストを輩出した大東文化大学。一方で近年を振り返ってみると、91回大会で市田宏(現旭化成)が区間4位で駆け上った以外は苦戦を強いられている。両区間をいかにしのぐかもポイントになってくる。
古くは大久保初男が50回大会から4年連続で5区の区間賞を獲得し、山下りの6区でも金子宣隆が75回大会から4年連続で好走するなど、歴史的にはこの箱根駅伝独特の“特殊区間”には強い。奈良監督自身も現役時代は5区の山上りで2度の区間賞を獲得しており、そのノウハウが選手にはまるかどうかがカギとなってくるだろう。
「5区と6区は個性の出る区間なので適性を上手く見極めないといけない。そこをクリアできないと、参加するだけになってしまう」
そう危機感を募らせる奈良監督。だが、予選会を通過しても安穏としていないということは、裏を返せば選手もスタッフもそれだけ上を狙っているという証左でもある。
3年ぶりのシード権獲得に向けて、総合優勝4回を誇る伝統のフレッシュグリーンのたすきは、底力を見せられるだろうか。