“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
U-20W杯出場権は得たけれど……。
サウジに完敗、有望株に見た甘さ。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byRobertus Pudyanto/Getty Images
posted2018/11/03 08:00
失った2点は、いずれも完全に崩されての失点だった。日本は完敗したのだ。
日本は完全に翻弄されていた。
だが、それらの悪条件を差し引いても、サウジアラビアには様々な面で実力差を見せつけられたのも、また事実だった。
彼らは後ろからポゼッションをしながら組み立て、決してむやみやたらに蹴り込んでこなかった。
日本の選手のポジションの隙間にボールを持った1人が入り込んでいくと、それに連動して全体がスムーズにスライドしていた。その滑らかな試合運びのまま、ショートパスの連続からの逆サイド展開、裏への縦パスなど、狙いを明確に持って90分間を戦っていた。
そして、後半になっても彼らのプレーの質はまったく落ちなかった。
日本は完全に翻弄されたのだ。
この事実はチーム全体で正直に受け入れなければならない。
この完敗の経験を糧にできるか?
とはいえ、彼らは来年のポーランドで開催されるU-20W杯の出場権を得るという、最低限のタスクはやってのけたのだ。
インドネシア戦が終わった時点で、すでにU-20W杯への強化はスタートしている。そういう面を考えれば、間違いなくこの敗戦の経験はプラスになる。
世界に出れば、サウジアラビア以上の実力、試合巧者のチームはゴロゴロいる。
U-20W杯で戦う相手はグループリーグ初戦から難敵揃いとなるだけに、自分達がアジアの舞台でやれたこと、やれなかったことをちゃんと整理して、世界に向かって力強くリスタートを切って欲しい。
今は失意の中にあるかもしれない。だが、この年代で一番重要なのは経験値だ。
サウジアラビア戦完敗の屈辱を日本に持ち帰って、それぞれの糧にして欲しいと心から願っている。